名簿に、自社の点数と順位が載っています ── 熊本県の有資格者名簿の見方

熊本県は毎年4月1日に、工事入札参加資格の有資格者名簿を公表します。そこには会社名だけでなく、等級と点数と順位が載っています。自社が何点で、同じ等級の中で何番目か。次の等級まであと何点か。それが誰でも見られる形で置かれています。名簿の読み方をまとめます。

01名簿は、毎年4月1日に公表されます

令和8年度の名簿は、令和8年4月1日に公表されました。指名願(入札参加資格審査申請)を出して資格が認定されると、その結果が名簿というかたちで世に出ます。

申請が2年に一度でも、名簿は毎年作り直されます。理由は第06章で扱います。

項目 令和8年度の場合
公表日 令和8年4月1日
対象 熊本県内に主たる営業所を有する建設業者(県内工事)
載るもの 有資格者の情報に、等級・点数・順位を含む
作成する課 熊本県 土木部 監理課 建設業班
根拠 熊本県工事入札参加者資格審査格付要綱(平成15年熊本県告示第221号)
名簿は、自社を見るためだけのものではありません同じ等級に誰がいるか、地元でどの会社がどの位置にいるか。公表されている情報なので、見にいけば分かります。指名競争入札の指名は、この名簿の中から行われます。

02名簿に載っている数字

載っているのは三つです。

項目 中身 どこから来るか
点数 総合点数 経営事項審査の総合評定値(P点)+技術事項等評価点数(主観点)
等級 A1・A2・B・C・Dなど、業種ごとの区分 総合点数を、その年度の格付基準の境目に当てて決まる
順位 同じ業種・同じ等級の中での順番 総合点数の高い順

総合点数の式と等級の境目、発注標準額は熊本県の格付 ── 総合点数と、等級の境目にある数字に整理しています。この記事では、その結果がどう公表されるかを扱います。

03三つの名簿は、並べ方が違うだけです

熊本県のホームページには、名簿のPDFが三つ置かれています。中身は同じ有資格者で、並べ方が違います。目的によって使い分けます。

名簿 並べ方 向いている使い方
50音順 会社名のあいうえお順 会社名から探す。自社や取引先の等級を確認する
管轄別50音順 広域本部・地域振興局の管轄ごとに、会社名順 自社の営業エリアにどの会社がいるかを見る
等級順位順(格付5業種) 業種・等級ごとに、順位の順 自社が何番目かを見る。等級の境目の近さを測る

実務でいちばん使うのは三つ目です。格付5業種とは、熊本県が等級を付ける土木一式・建築一式・舗装・電気・管の五つを指します。この五つ以外の業種は等級が付かないため、順位の名簿にも並びません。

PDFは、最新とは限りません県は「住所変更など最新の情報と異なる場合があります」と注記しています。最新を確かめるなら、閲覧に供されている名簿か、電子入札システムの入札情報公開サービスで見ることになります。
図1 同じ名簿を、三通りに並べ替えたもの
中身は同じ有資格者。並べ方だけが違います 50音順 会社名から引く あ … か … さ … 取引先の等級を 確かめるとき 管轄別50音順 広域本部ごと 県央 / 県北 / 県南 … 営業エリアの 顔ぶれを見るとき 等級順位順 格付5業種のみ A1 1位 / 2位 / 3位 … 自社の位置と 境目までの差 格付5業種は、土木一式・建築一式・舗装・電気・管。それ以外の業種には等級が付きません。

04どこで見るか

三つの経路があります。県は、閲覧と検索のほうが最新だと案内しています。

経路 場所・方法 特徴
閲覧 熊本県庁 土木部監理課閲覧室(行政棟本館11階)/情報プラザ(行政棟本館1階) 等級・点数・順位を含む名簿を、その場で見られる
閲覧 各広域本部(地域振興局)の総務担当課 県庁まで行かずに済む。地元の分を見るならこちら
検索 熊本県電子入札システム内の入札情報公開サービス 等級・点数・順位を含めて検索できる。会社名で引くのが早い
ダウンロード 熊本県ホームページのPDF(3種) 手元に残せる。ただし最新でない場合がある

入札情報公開サービスは、電子入札システムの一部です。ICカードや利用者登録がなくても見られる範囲があります。電子入札そのものの手順は電子入札 ── ICカードから利用者登録までの順番にまとめています。

05名簿から読めること

順位の名簿を開いて、自社の行を見つけたら、次の四つを読みます。

読むところ 分かること 次の手
自社の総合点数 P点と主観点の合計が、実際にいくつだったか 経審の結果通知と突き合わせて、主観点がいくら乗ったかを逆算する
一つ上の等級の下限との差 あと何点で上がるか その差が数十点なら、主観点の届出漏れを先に洗う
同じ等級の中の順位 上位か下位か。指名の母集団の中での位置 下位なら、次の2年で工事成績と主観点を積む
すぐ上と、すぐ下の会社 いつも競合している会社が、何点で並んでいるか 差が十数点なら、届出ひとつで入れ替わることがある

等級の境目は業種ごとに違います。令和8年度の土木一式ならA1が1,432点以上、A2が1,049点以上。A1とA2の差は383点あります。一方で、順位のすぐ上との差は数点ということも珍しくありません。

主観点は、取りにいける点です県との防災協定20点、ブライト企業認定20点、新規学卒者の雇用で最大16点、熊本県SDGs登録5点。届出や認定で積める点が並んでいます(主観点で動かせるところブライト企業認定と、指名願の主観点)。

06申請は2年に一度。名簿は毎年作り直されます

ここが分かりにくいところです。指名願の定期申請は2年に一度ですが、名簿は毎年4月1日に新しくなります。

県は毎年度、総合点数のうち経営事項評価点数のほうだけを、直近の経審結果に入れ替えて格付をやり直します。技術事項等評価点数(主観点)は、原則として資格認定時のまま2年間動きません。

要素 更新のされ方 意味
経営事項評価点数(P点側) 毎年度、直近の経審結果に入れ替わる 経審を受け続けないと、名簿の点数が古いままになる
技術事項等評価点数(主観点) 原則として2年間そのまま 次の定期申請まで、届け出た時点の点で固定される
等級・順位 毎年度、新しい総合点数で付け直される 自分が動かなくても、他社が動けば順位は変わる

つまり経審は毎年効き、主観点は2年に一度きりという非対称があります。主観点を取り逃すと、その影響は2年続きます。

図2 毎年入れ替わるところと、2年止まるところ
総合点数 = 経営事項評価点数 + 技術事項等評価点数 1年目(申請した年度) 経営事項評価点数 技術事項等評価点数 2年目(翌年度の格付) 直近の経審に入れ替え そのまま据え置き 毎年動く 2年止まる 自社が動かなくても、他社の点が動けば順位は変わります。

07名簿に載り続けるために

名簿は、載ったら終わりではありません。会社の側が動いたときは、県に届け出ます。

変わったこと やること
主たる営業所の商号または名称を変えた 変更届[県内工事]を監理課建設業班へ。あわせて建設業許可の変更届出書も必要
法人の代表者が変わった 同上
所在地・郵便番号・電話番号が変わった 同上
指名願を取り下げる 同じ変更届で取下げができる
大臣許可の会社が上記を変更した 九州地方整備局に出した変更届出書(第一面・様式第二十二号の二)の写しを添付する

提出先は熊本県土木部監理課建設業班、提出部数は2部(会社控えが不要なら1部)、郵送または持参です。県は「変更事項が生じた場合は、速やかに」としています。

名簿の情報が古いと、連絡が届きません指名の通知や入札の案内は、名簿に載っている連絡先に来ます。電話番号を変えたまま届け出ていないと、そこで止まります。決算変更届や許可の更新と違って期限が明示されていない分、後回しにされやすい手続きです。

あわせて、資格そのものを失わないための土台も要ります。建設業許可が切れれば資格も失われ、経審を受け続けなければ翌年度の格付で点数が入れ替えられません。許可・経審・入札参加資格の三段階の関係は公共工事に出るまでの三段階にまとめています。

08つまずきの記録

つまずき 防ぎ方
名簿が公表されていることを知らなかった 毎年4月1日。県のホームページと、県庁・広域本部の閲覧で見られる
PDFの点数を最新だと思って社内資料に使った PDFには「最新の情報と異なる場合があります」の注記がある。正確に見るなら閲覧か入札情報公開サービス
等級順位順の名簿に自社が載っていない 等級が付くのは格付5業種のみ。それ以外の業種は50音順の名簿で確認する
去年と等級が変わった理由が分からない 毎年度、経営事項評価点数だけが直近の経審に入れ替わる。経審のP点が落ちれば等級も動く
順位だけを見て、点数を見ていなかった 順位は相対、点数は絶対。等級の境目までの差は点数でしか測れない
電話番号を変えたが届け出ていなかった 変更届[県内工事]を速やかに。連絡が届かないのがいちばんの損失
主観点の届出漏れに、名簿を見て初めて気づいた 気づいた時点では2年間動かせない。定期申請の前に持ち点を棚卸しする

※この記事は令和8年9月16日に、熊本県「令和8年度(2026年度)熊本県工事入札参加者資格(県内建設業者)の認定及び格付について」「熊本県工事入札参加者資格申請(指名願)変更届」「令和9・10年度(2027・2028年度)熊本県工事入札参加者資格審査申請要領(県内建設業者)」にあたって書いています。等級の境目の数値は令和8年度の格付基準によるもので、年度により見直されます。

確認先 連絡先
名簿・格付・変更届 熊本県 土木部 監理課 建設業班 096-333-2485
閲覧 熊本県庁 行政棟本館11階(監理課閲覧室)・1階(情報プラザ)、各広域本部(地域振興局)の総務担当課
執筆体制

行政書士村上事務所熊本市/創業2004年

建設業許可・経営事項審査・入札参加資格を専門に扱っています。お客様の紹介で広がり、取引先は100社を超えました。

顧問技術士・一級建築士

技術と設計の側から、評点の組み立てと施工体制について助言を受けています。

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