エコアクション21 ── 経審で3点

エコアクション21 実務ノート ── 経審で3点、その3点にいくらかかるか

エコアクション21は環境省がつくった環境マネジメントの仕組みで、経審では素点3点、P点にしておよそ+3.9点になります。取るか取らないかは、この3.9点に対して費用と手間がどれだけかかるかという話です。費用は公表されていますので、両方を数字で並べれば判断できます。あわせて、熊本県での扱いに一つ注意すべき点があります。

構成一 経審のどこに入るか/二 加点されない二つの場合/三 熊本県での扱い/四 何をする制度か/五 取得までの流れ/六 費用/七 3.9点にいくらかかるか/確認のチェックリスト

第一章経審のどこに入るか

建設業法施行規則第18条の3第1項第8号「国又は国際標準化機構が定めた規格による認証又は登録の状況」がその場所です。実務ではW8と呼ばれます。点数はこうなります。

認証・登録 素点 P点換算
ISO9001 + ISO14001 10点 約+13.1点
ISO9001 + エコアクション21 8点 約+10.5点
ISO9001のみ 5点 約+6.6点
ISO14001のみ 5点 約+6.6点
ISO14001 + エコアクション21 5点 約+6.6点
エコアクション21のみ 3点 約+3.9点
いずれもなし 0点

W評点=素点の合計×10×175/200、P=…+0.15W で計算しています。素点1点はP点で約1.31点です。出典:国土交通省「経営事項審査の事務取扱いについて」別紙1(令和8年7月1日施行版)。

図1 組み合わせごとの素点と、P点への効き方W8 認証・登録の組み合わせと、P点への効き方ISO9001+ISO14001素点10点約+13.1点ISO9001+EA21素点8点約+10.5点ISO9001のみ素点5点約+6.6点ISO14001のみ素点5点約+6.6点ISO14001+EA21素点5点約+6.6点EA21のみ素点3点約+3.9点ISO14001とエコアクション21を両方持っていても、点は合算されない(5点のまま)分野が違うISO9001とエコアクション21は足されて8点になる※EA21=エコアクション21。P点はW評点=素点合計×10×175/200、P=…+0.15W で換算。 出典:国土交通省「経営事項審査の事務取扱いについて」別紙1(令和8年7月1日施行版)。

五行目に注意してください。環境の認証を二つ持っていても、点は重なりません。足せるのは品質(ISO9001)と環境の組み合わせです。

表の5行目に注意してください。ISO14001とエコアクション21の両方を持っていても、点は合算されません。中央建設業審議会の資料に理由が書かれています。

中央建設業審議会 資料よりエコアクション21はISO14001に比べ、認定にあたっての審査基準が少なく、また認証手続も簡便であることから、ISO14001の5点より下位の3点/ISO14001とエコアクション21のいずれも認証を取得している場合、これらの評点は合算せず、5点のみの評価とする

いっぽうISO9001(品質)とエコアクション21(環境)は分野が違うので、8点として足されます。すでにISO9001を持っている会社がエコアクション21を足すと、5点から8点へ、P点で約+3.9点動く計算になります。

なお令和8年7月1日施行の経審の改正では、この項目に変更はありません。改正されたのはW1(自主宣言制度の新設、就業履歴の配点見直し)とW7(建設機械の対象追加)、そして社会保険の減点廃止です。

第二章加点されない二つの場合

ここが実務でいちばん効きます。通知に短く、しかし決定的なことが書かれています。

通知(経営事項審査の事務取扱いについて)より認証範囲に建設業が含まれていない場合及び認証範囲が一部の支店等に限られている場合には、加点対象としないものとする。

読み替えるとこうなります。

  • 認証の範囲に建設業が入っていること。兼業がある会社が、たとえば製造部門だけで認証を取っていると点になりません
  • 一部の支店・営業所だけの認証では足りないこと。本社だけ、あるいは特定の営業所だけという範囲では加点されません

エコアクション21は認証の対象範囲を事業者が定める仕組みです。範囲を狭くすれば審査の負担は軽くなりますが、経審の加点を目的にするなら狭められません。取得を検討する段階で、この一点を先に決めておく必要があります。

もう一つ、時点の要件があります。加点されるのは審査基準日(決算日)において認証を受けている場合です。認証・登録の期間は2年ですので、更新が決算日をまたいで切れていないかも確認することになります。

第三章熊本県での扱い

経審の点になることと、県の入札の格付で点になることは別の話です。熊本県の令和8年度の格付基準を読むと、主観点(技術事項等評価点数)にISO・エコアクション21の項目はありません。

県の主観点で環境に関わるのは次の二つだけです。

項目 点数
事業活動温暖化対策計画 又は エコ通勤環境配慮計画の取組状況 各計画につき2点
熊本県SDGs登録制度の登録 5点

出典:令和8年度(2026年度)熊本県工事入札参加者資格審査における格付基準。

県の別のページには「5点加点」と書かれています熊本県環境部のページには、エコアクション21について「熊本県工事入札参加者資格審査における格付 5点加点」との記載があります。ただしこのページの更新日は2021年4月15日で、現行の令和8年度格付基準の内容とは一致しません。エコアクション21中央事務局が全国の都道府県の扱いをまとめた資料でも、熊本県は加点する18都道府県に含まれていません。県の格付での加点を当てにして取得を判断するのは、いまの時点では危ういと考えます。判断の前に熊本県土木部監理課へ直接ご確認ください。

なお令和9・10年度の技術事項等評価項目の申請要領は、令和8年12月頃に公表される予定です。次の格付で扱いが変わる可能性はありますので、公表を待って確かめることになります。

熊本市では、建設工事総合評価方式(簡易型)の企業評価に、ISO14001またはエコアクション21の認証を含む項目があります。ただし単独の項目ではなく、熊本県SDGs登録・建設キャリアアップシステムの登録・ボランティア活動・消防団協力事業所と組み合わせた複合項目で、25点満点のうち0.3〜0.5点です。エコアクション21だけで動く点ではありません。

第四章何をする制度か

環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステムです。運営は環境省から適合の確認を受けた一般財団法人持続性推進機構(エコアクション21中央事務局)が行い、地域事務局が審査の受付と審査員の割当を担います。地域事務局は2026年3月1日現在で27都道府県・33団体です。

基準は「エコアクション21ガイドライン2017年版」で、要求事項は14項目。中小事業者でも取り組めるよう設計されています。特徴は三つあります。

  • 必ず把握する環境負荷が4つ決まっている:二酸化炭素の排出量、廃棄物の排出量、水の使用量、化学物質の使用量
  • 環境経営レポートの作成と公表が必須:原則として毎年度作成し、中央事務局が事業者名とあわせて全文をそのままホームページで公表します
  • 建設業者向けのガイドラインがある:「エコアクション21 建設業者向けガイドライン2017年版」(2018年9月発行)。建設業の許可の有無にかかわらず、29種類の建設工事業を行う者が対象です

建設業者向けガイドラインが前提に置いているのは、本社等と建設現場等の両方のサイトで事業活動を行うという形です。計画・設計から施工、改修、解体までのライフサイクル全体が対象になり、建設副産物とリサイクルが重点に置かれます。エネルギー使用量は月単位で把握することが求められます。

公表が必須である点は、ISOと比べたときの実務上の違いとして押さえておいてください。自社の環境データが、そのまま外から読める形になります。

第五章取得までの流れ

手続きは次の順に進みます。

  • 対象範囲を決める。ここで建設業と全事業所を含めておかないと、経審の加点につながりません(第二章)
  • 環境経営方針を代表者名で定め、全従業員に周知する
  • 環境負荷の現状を把握する(電気・燃料・水道・廃棄物・化学物質)
  • 自社に適用される環境関連法規の一覧表を作る
  • 数値目標と、達成の手段・日程・責任者を定めた環境経営計画を作る
  • 環境管理責任者を任命し、役割と権限を文書にする
  • 日々の記録を始める。燃料の給油量、産業廃棄物のマニフェスト、電気・水道の使用量
  • 環境経営レポートを作成し、公表する
  • 審査を申し込む(申込書と環境経営レポートを地域事務局へ)
  • 書類審査と現地審査を受ける
  • 地域と中央の判定委員会の審議を経て、認証・登録契約を結ぶ
3か月と2か月認証・登録には、構築した環境経営システムを3か月以上運用した実績が必要です。また審査の申込みは登録審査を希望する時期の2か月以上前を目処に提出することとされています。この二つを足すと、思い立ってから認証まで半年前後を見る計算になります。決算日に間に合わせたい場合は、そこから逆算してください。

認証・登録の期間は2年です。認証・登録日から概ね1年後に中間審査を受け、2年以内に更新審査を受けて更新します。取ったら終わりではなく、毎年何らかの審査があると考えておくのが実際に近いところです。

第六章費用

エコアクション21の費用は公表されています。二つに分かれます。

費目 金額
審査費用(審査人の日当) 50,000円/人日(消費税別)+旅費交通費は実費
認証・登録料(2年分) 従業員10人以下 50,000円+消費税
従業員11〜300人 100,000円+消費税

従業員数にはパート・アルバイト等も含みます。301〜500人は150,000円、501〜1,000人は200,000円、1,001人以上は300,000円。出典:エコアクション21中央事務局。

審査に何人日かかるかも、業種と従業員数で決まっています。建設業は製造業と同じ区分です。

従業員数 登録審査 中間審査(初回) 更新審査
30人以下 2人日 2人日 2人日
31〜60人 2.5人日 2人日 2人日
61〜100人 3人日 2.5人日 2.5人日
101〜500人 3.5人日以上 3人日以上 3人日以上

数字を入れてみます。従業員30人以下の建設会社の場合、登録審査は2人日で10万円、認証・登録料は10人以下なら5万円、11〜300人なら10万円。初回は15万円から20万円に旅費交通費が加わる計算です。その後は1年目に中間審査で10万円前後、2年目に更新審査10万円前後と登録料が再びかかります。

第七章3.9点にいくらかかるか

ここまでの数字を並べます。エコアクション21で得られるのはP点で約3.9点。これを他のW点の加点メニューと比べます。

加点 素点 P点 主な負担
建退共 15点 約+19.7点 掛金(技能者数に比例)
法定外労災(上乗せ労災) 15点 約+19.7点 保険料
退職一時金・企業年金 15点 約+19.7点 掛金
建設技能者を大切にする企業の自主宣言 5点 約+6.6点 宣言のみ
防災協定の締結 20点(県と) 約+26.3点 団体への加入
エコアクション21 3点 約+3.9点 初回15〜20万円、以後も毎年審査
図2 W点の加点メニューを、負担と並べて見るW点の加点メニュー ── 同じ経審の点でも、負担はまるで違う防災協定約+26.3点団体への加入建退共約+19.7点掛金法定外労災約+19.7点保険料退職一時金等約+19.7点掛金自主宣言約+6.6点宣言のみエコアクション21約+3.9点費用と毎年の審査宣言するだけで5点、団体に入って20点というメニューがある一方、エコアクション21は3点に対して初回15〜20万円と、以後も毎年の審査が続く※防災協定は熊本県と締結した場合の点数。素点はいずれも令和8年7月1日施行版による。

点あたりの重さで見ると、エコアクション21は軽いほうではありません。経審の点だけが目的なら、先に当たるべきものが他にあります。

点あたりの費用でみると、エコアクション21はW点のメニューの中で軽いほうではありません。自主宣言制度は宣言するだけで5点、防災協定は団体への加入で20点です。経審の点数だけを目的にするなら、先に当たるべきものが他にあります。宣言だけで5点になる自主宣言制度や、掛金で15点の建退共、団体への加入で20点の防災協定のほうが、点あたりでは軽く済みます。

では取る意味がないかというと、そうではありません。判断が変わるのは次のような場合です。

  • すでにISO9001を持っている:5点から8点に上がるので、同じ3点でも取りに行く価値が出ます
  • 環境経営そのものに取り組む意思がある:燃料・廃棄物・水の使用量を毎月つかむ仕組みは、経審とは別に原価管理として効きます
  • 発注者や元請から求められている:民間の取引条件として挙がることがあります

逆に、「経審の点のために取る」という動機だけであれば、費用と手間に見合わない可能性が高いというのが、数字を並べた結論です。熊本県の格付では現時点で加点項目になっていないこと(第三章)も、この判断に効いてきます。

確認チェックリスト

  • いまISO9001またはISO14001を持っているか。持っているなら、足したときに何点になるか(第一章の表)
  • 認証の対象範囲に建設業を含める前提になっているか
  • 認証の対象範囲は全事業所か。一部の支店だけになっていないか
  • 認証・登録が審査基準日(決算日)に有効な状態か。更新の時期は決算をまたいでいないか
  • 環境経営レポートが全文公表されることを社内で了解しているか
  • システムを3か月以上運用してから審査、申込は希望時期の2か月以上前。決算日から逆算して間に合うか
  • 初回だけでなく、1年後の中間審査と2年後の更新審査の費用も見込んでいるか
  • W点の他の加点メニュー(自主宣言・建退共・上乗せ労災・退職金・防災協定)を先に拾っているか
  • 熊本県の格付での扱いを、監理課に確認したか(令和9・10年度分は令和8年12月頃公表予定)
確認先(一次情報)経審の点数と加点の要件は国土交通省の告示と「経営事項審査の事務取扱いについて」、制度の内容とガイドラインは環境省、費用・手続き・認証事業者の一覧はエコアクション21中央事務局(一般財団法人持続性推進機構)が公表しています。熊本県の格付基準は県土木部監理課のページにあります。本記事の数値は令和8年8月時点で公表されているものです。認証の範囲の決め方や、W点全体の中でどこから手をつけるかについては、当事務所でもご相談を承っています。
執筆体制

行政書士村上事務所熊本市/創業2004年

建設業許可・経営事項審査・入札参加資格を専門に扱っています。お客様の紹介で広がり、取引先は100社を超えました。

顧問技術士・一級建築士

技術と設計の側から、評点の組み立てと施工体制について助言を受けています。

chiou.jp株式会社地央/姉妹サイト

不動産・都市計画・開発許可・農地転用の実務ノートを100本以上載せています。土地から入る案件は、あわせてご覧ください。

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行政書士村上事務所は、創業20年・支援実績100社超。許可の要件を満たせるか、経審で狙った評点・等級に届くかを、着手前に診断してお伝えします。初回相談は無料です。

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