防災協定とBCP認定 ── 経審で点になるのはどちらか
構成一 経審で点になるのは「防災協定」/二 BCP認定が効くのは総合評価/三 防災協定をどう結ぶか/四 BCP認定の申請/五 つまずきの記録/確認のチェックリスト
第一章経審で点になるのは「防災協定」
経審のW点(社会性等)には、防災に関する項目がひとつだけあります。W3「防災活動への貢献の状況」です。評価されるのは、国や地方公共団体と災害時の防災活動について協定を締結しているかどうか。締結していれば素点20点が付きます。
W点の素点1点は、P点でおよそ1.31点。20点ならP点でおよそ+26.3点です。W評価項目の加点メニューの中では、最も大きい部類です。しかも判定されるのは決算日時点の状態なので、決算前に締結が済んでいれば、その年の経審から効きます。
P点への寄与は、素点 × 10 × 175 ÷ 200 × 0.15 で計算しています。W点の係数は令和5年8月14日を審査基準日とする申請から175÷200です(それ以前は190÷200)。「素点1点=P点で約1.4点」としている資料は、旧係数のままの数字です。
どちらも「災害に備える」話ですが、点になる場所が違います。経審の評点を動かしたいなら防災協定、指名や総合評価での評価を上げたいならBCP認定。順番を間違えると、手間の掛け先を誤ります。配点と評価項目は年度・発注者によって変わるため、判断の前に最新の資料でご確認ください。
逆に言えば、W点で見られるのは協定を結んでいるかどうかだけです。立派なBCPの計画書を作っても、協定がなければW3は0点のままです。
第二章BCP認定が効くのは総合評価
では「建設会社における災害時の事業継続力認定」に意味がないのかというと、そうではありません。効く場所が違うだけです。
この認定は、国土交通省の各地方整備局が、災害時の事業継続力が一定水準以上と認めた建設会社に認定証を交付する制度です。熊本県内の会社なら九州地方整備局が窓口になります。
認定の効果は、総合評価落札方式での加点です。関東地方整備局では平成22年度から「地域への貢献(災害時の事業継続力認定)」という評価項目が設けられています。発注者や案件によって扱いは異なりますが、価格以外で差がつく場面で効いてくる資格だと考えてください。
第三章防災協定をどう結ぶか
経審の20点を取りにいくなら、まず協定です。実務上のルートは二つあります。
- 建設業協会を通じる:協会が自治体と結んでいる協定に、会員として参加する形。多くの会社はこちらです。入会と手続きで数か月を見ておきます
- 自社で単独に締結する:市町村と直接結ぶ形。地元との関係があれば動きますが、相手の側にも決裁が要るため時間は読めません
どちらにしても、決算日までに締結が完了している必要があります。決算月から逆算して、半年前には動き出しておくのが安全です。「今期の経審に間に合わせたい」と決算の直前に相談を受けても、そこからでは届きません。
協定の要件や証明書類の出し方は発注者によって異なります。申請の前に、熊本県の手引きと協定先の様式でご確認ください。
第四章BCP認定の申請
認定を受けるには、地方整備局の評価要領にそって事業継続の体制を示すことになります。
- 認定するのは地方整備局:熊本県内なら九州地方整備局。整備局ごとに要領も受付時期も別です
- 受付は年に一度か二度:受付期間が決まっており、外すと次の回まで待つことになります
- 有効期間は数年:新規と継続で年数が異なり、これも整備局によって違います。関東は新規2年・継続3年、中部は初回3年・更新2年という具合です
準備するのは、災害時の指揮系統、連絡手段、資機材の確保、協定の有無、訓練の実施状況といったところです。ドローンやクラウドの導入が要件として求められているわけではありません。要領に書かれているのは、災害時に事業を続けられる体制があるかどうかです。
第五章つまずきの記録
計画書を作ってから、協定がないことに気づいた
BCPの文書整備に数か月かけたあと、経審の点が動かないと分かる。順番としては、協定を先に結んでおいて、認定は次の段階です。
決算月の直前に相談された
協定は相手のある話です。協会経由でも単独でも、決算日までに締結が終わっていなければその年の点にはなりません。決算月から逆算する項目のひとつとして、年間の予定に載せておくことです。
受付期間を外した
BCP認定は通年で受け付けているわけではありません。整備局の公表する受付期間を確認せずにいると、一年見送ることになります。
確認チェックリスト
- 国・県・市町村のいずれかと防災協定を結んでいるか
- 結んでいる場合、締結日は直近の決算日より前か
- 結んでいない場合、加入している建設業協会に協定はあるか
- 協定を証明する書類(協定書の写しなど)は手元にあるか
- 総合評価を狙うなら、九州地方整備局のBCP認定の受付時期を確認したか
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