令和8年熊本地震で熊本県が出している情報を建設業者の目で並べ替える

地震の情報は、県のどこにあるか ── 建設業者のための並べ替え

熊本県の「令和8年熊本地震に関する情報」のページには、200を超える案内が並んでいます。生活支援、住まい、健康、こども、ペット、ボランティア。どれも要るものですが、建設業を営む立場で本当に見るべきものは、そのうちのごく一部です。しかも、県のページは所管課ごとに置かれていて、業種ごとには並んでいません。建設業者の目で並べ替えると、見る先は四つに整理できます。令和8年9月2日時点で確かめた内容です。

01四つに分けると、見通しがつきます

県が出している情報のうち、建設業に関わるものは次の四つに分かれます。分野が違えば所管課も違い、更新の速さも違います。

分野 中身 所管
期限 許可・経審・資格者証の有効期間、届出の履行期限、条例に基づく許可等 監理課ほか、許可ごとの担当課
仕事 入札契約に関する通知、発注見通し、復旧・復興本部会議の資料 監理課、土木技術管理課
制度 緊急修理、応急修理、応急仮設建築物、災害廃棄物 健康福祉部、建築住宅課、循環社会推進課
資金と人 中小企業向けの資金、労働の特例措置、県税の減免 商工労働部、労働雇用創生課、税務課

順番が大事です。期限は放っておくと切れます。制度は先着や期間の制限があります。仕事と資金は、その二つを片づけたあとで間に合います。

02期限のことは、別にまとめてあります

建設業許可・経営事項審査・監理技術者資格者証は、国土交通省の告示で満了日が令和9年1月27日にそろいました。届出の遅れは令和8年11月27日までなら責任を問われません。一方、指名願の受付は令和8年12月18日のままです。

この三つの日付と、対象になる区域の見分け方は、建設業許可・経審・指名願は、地震でどう動いたかにまとめました。産業廃棄物処理業の許可と、解体・災害廃棄物の実務は令和8年熊本地震と、解体・災害廃棄物の実務です。ここでは繰り返しません。

ひとつだけ足しておきます。県のページには「条例等に基づく許可等の有効期間の延長等が認められる場合があります」という案内が別に置かれています。屋外広告業の登録や浄化槽保守点検業の登録など、国の告示に載らないものが対象です。兼業でこうした登録をお持ちなら、こちらも確かめてください。

図1 県の情報を、建設業者の目で並べ替える
200を超える案内のうち、建設業に関わるのは四つの束です 熊本県「令和8年熊本地震に関する情報」 1 期限 許可・経審・資格者証の満了日、届出の履行期限、条例に基づく登録 放っておくと切れます。まずここから 2 制度 緊急修理、応急修理、応急仮設建築物、災害廃棄物 期間や着手時期の縛りがあります。窓口は市町村のことが多いです 3 仕事 入札契約に関する通知、発注見通し、復旧・復興本部会議の資料 随意契約の活用、工事の一時中止、前金払の推進 4 資金と人 金融円滑化特別資金の地震枠、労働の特例措置、県税の減免相談 罹災証明書や被災証明書が要ることがあります

03いま現場で動いているのは、二つの修理制度です

被災した住宅の修理には、県が案内している制度が二つあります。名前が似ていますが、別の制度です。県のページにも、はっきり「別の制度になります」と書かれています。

緊急修理(ブルーシート展張等) 応急修理
目的 被害の拡大を防ぐ 住み続けられるように直す
対象市町村 災害救助法が適用された20市町村。熊本市は救助実施市のため、市が別に実施しています
窓口 被災した市町村。準備が整った市町村から順に開設されました
申込みに要るもの 被害状況が分かる写真。撮影してから相談する流れです
業者向けの案内 「修理業者の皆様へ」のPDFがあります 同じく「修理業者の皆様へ」のPDFがあります

ここは押さえておく値打ちがあります。県は、修理を請け負う業者向けの案内を別に用意しています。被災された方がこの制度をご存じないことがあるので、業者から案内してほしい、という趣旨です。制度を知らずに全額自己負担で契約してしまうと、あとで話がこじれます。

写真は、先に撮るどちらの制度も、申込みに被害状況の写真が要ります。ブルーシートを張ったあとでは、被害の状態が写りません。先に撮る。これは自費解体の償還と同じ理屈です。現場に入る前のひと手間が、施主の手取りを決めます。
図2 二つの修理制度と、業者の立ち位置
申込みは施主が市町村へ。業者は、その前と後ろを支えます 被災された施主 市町村の窓口へ申込み(写真が要ります) 緊急修理(ブルーシート展張等) 被害の拡大を防ぐための措置 応急修理 住み続けられるようにする修理 業者がすること 着手前に写真を撮る/制度を知らない施主に案内する/書面で見積を出す 県は、修理業者向けの案内も別に用意しています。二つは別の制度です。

なお、修理までのあいだ、あるいは修理をしながら住むところについては、県が応急住宅を三つの形で用意しています。建設型、自宅敷地内型、賃貸型です。要件と担当課は応急住宅は三つあります ── 建設型・自宅敷地内型・賃貸型と、業者が関わるところにまとめました。応急修理が1か月を超える見込みかどうかが、住まいの選択肢を分けます。

04応急仮設建築物は、着手の期限がもう過ぎています

見落とされやすいのがこれです。県は令和8年7月28日付で、応急仮設建築物に対する制限緩和を行う区域を指定しました。根拠は建築基準法第85条第1項および第87条の3第1項です。この区域内で一定の条件を満たすものは、建築基準法の基準や確認申請などの手続きが適用されません(防火地域内に建てる場合を除きます)。

項目 中身
指定区域 熊本県全域。ただし特定行政庁である熊本市、八代市、天草市を除きます
対象 災害で破損した建築物の応急の修繕/国・地方公共団体・日本赤十字社が災害救助のために建てるもの/被災者(企業等を含む)が自ら使うために建てる延べ面積30平方メートル以内のもの
工事着手 災害発生日から1か月以内に着手するもの
存続期間 工事完了後3か月を超えて存続させるなら、特定行政庁から法第85条第3項の許可を受ける必要があります

日付に直すと、こうなります。着手の期限は令和8年8月27日でした。もう過ぎています。そして、8月に完成した仮設については、11月ごろに存続期間の判断が来ます。許可を受けるには、基礎や火気を使う室の内装などに一定の安全対策が要ります。「3か月経ったら考える」では間に合いません。事務所や資材置場を仮設で立てた会社は、いま段取りを始める時期です。

窓口は各広域本部土木部の景観建築課です。県央広域本部(宇土市、宇城市、下益城郡、上益城郡、上天草市、天草郡を所管)は096-333-2793。熊本市・八代市・天草市は、それぞれの市にお問い合わせください。

05仕事の側は、二つのページで足ります

発注の動きを追うなら、県のページは二つです。

ページ 読むところ 所管
令和8年熊本地震を受けて発出した入札契約に関する通知等 緊急工事等での随意契約の活用、工事の一時中止、前金払の推進、復旧資材の運送、労働災害防止、建設業法上の特例措置 監理課 096-333-2485
発注見通し情報(詳細版) 今年度どの工事がいつ出るか。設計金額の区分まで載っています 土木技術管理課 096-333-2490

ただし、いま出ている発注見通しは令和8年7月3日公表の版で、地震より前のものです。復旧工事は入っていません。読み方と、次の版で何が変わるかは今年度どの工事が出るかは、もう公表されていますにまとめました。

もうひとつ、事業量の見通しを立てたいなら令和8年熊本地震復旧・復興本部会議の資料が使えます。被害情報のページとあわせて見ると、どの分野にどれだけの復旧が要るのかが、数字で見えてきます。入札公告が出てから動くより、半歩早く構えられます。

06資金と人の話は、罹災証明書から始まります

県は令和8年8月20日に、中小企業者向けの新しい資金を公表しました。「金融円滑化特別資金(令和8年熊本地震枠)」で、申込みは8月24日から始まっています。

対象 地震の被害の影響を受けた中小企業者で、市町村長の発行する罹災証明書または被災証明書を持っている者。あるいは、申込日から1年以内の連続する3か月の平均売上高等が前年同期に比べて減少している(見込みを含む)者
限度額 1企業8,000万円、1組合1億円
融資期間 10年以内(据置2年以内)
保証料率 県の補助後で年0.00パーセント
申込先 取扱金融機関、商工会議所、商工会、中小企業団体中央会

融資利率は期間ごとに定められています。県のページに一覧がありますので、そちらでご確認ください。どの資金を選ぶかは資金繰り全体の話ですから、取引先の金融機関とご相談ください。ここでは、制度があるという事実だけをお伝えします。

人については「被災された労働者及び事業主の皆様へ(支援・特例措置)」に、雇用と労働の特例がまとめられています。県税は「県税減免等に関する相談窓口」です。いずれも、罹災証明書または被災証明書が入口になることが多いので、まだ取っていなければ市町村に相談してください。

07発注者側が、いま警戒していること

県は令和8年8月5日に「災害後の住宅修理トラブルにご注意ください」という注意喚起を出しました。熊本県消費生活センターに、地震のあと、突然、県外の事業者が来訪し、慌てて住宅修理の契約をしたことに不安を抱いたという相談が寄せられている、という内容です。工事の必要性や工期・費用が適正かどうかを、その場ですぐ判断するのは難しい、と続きます。

これは、まっとうに仕事をしている地元の業者にとっては追い風でもあり、向かい風でもあります。県が注意を呼びかけているぶん、施主は慎重になります。急かす業者は警戒されます。逆に言えば、次のことをしている会社は、それだけで区別されます。

  • 着手前の写真を撮り、施主にも渡している
  • 見積を書面で出し、内訳を説明している
  • 緊急修理・応急修理の制度を先に案内している
  • その場で契約を迫らず、考える時間を渡している
  • 建設業許可の内容を、聞かれる前に示せる

災害のあとの仕事は、単価より段取りと説明で決まります。県の注意喚起は、ていねいな会社にとっては名刺のかわりになります。

08見に行く順番と、確認先

県のページは所管課ごとに置かれていて、更新の時点もばらばらです。順番を決めて、必要なところだけ開いてください。

やること
1 自社の許可・経審・資格者証の満了日を書き出し、延長の対象かを確かめる
2 出せていない届出を、令和8年11月27日までに片づける
3 仮設を建てているなら、存続期間の許可が要るかを景観建築課に相談する
4 修理を請け負っているなら、緊急修理・応急修理の制度を施主に案内できる状態にする
5 罹災証明書または被災証明書を取り、資金と税の相談に進む
6 指名願を令和8年12月18日までに出す
7 発注見通しの次の版を待ち、復旧工事の並びを見る

制度は動いています。ここに書いたことも、令和8年9月2日時点で確かめたものです。手続きの前に、必ず最新の案内をご覧ください。

県の情報の入口 熊本県「令和8年熊本地震に関する情報」(広報課)
建設業許可・経審・入札 熊本県 土木部 監理課 建設業班 096-333-2485
発注見通し 熊本県 土木部 土木技術管理課 096-333-2490
応急仮設建築物 各広域本部土木部 景観建築課(県央広域本部 096-333-2793)。熊本市・八代市・天草市は各市へ
緊急修理・応急修理 被災した市町村の窓口。熊本市は市が別に実施しています
災害廃棄物・産廃許可 熊本県 環境生活部 循環社会推進課 企画調整班 096-333-2277/廃棄物指導班 096-333-2278
資金 取扱金融機関、商工会議所、商工会、中小企業団体中央会

被災された皆さまに、お見舞い申し上げます。県のページを一つずつ開いていく時間が取れないときは、熊本県内の案件についてご相談ください。自社に関わるものだけを抜き出して、期限の順に並べてお渡しします。

執筆体制

行政書士村上事務所熊本市/創業2004年

建設業許可・経営事項審査・入札参加資格を専門に扱っています。お客様の紹介で広がり、取引先は100社を超えました。

顧問技術士・一級建築士

技術と設計の側から、評点の組み立てと施工体制について助言を受けています。

chiou.jp株式会社地央/姉妹サイト

不動産・都市計画・開発許可・農地転用の実務ノートを100本以上載せています。土地から入る案件は、あわせてご覧ください。

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