行政書士村上事務所

総合評価落札方式 ── 価格以外の点で決まる部分

価格だけで決まらない入札があります。総合評価落札方式です。安く入れた会社が必ず取るわけではない。逆にいえば、過去の仕事の積み重ねが、そのまま次の受注の材料になる方式です。

01決まり方

熊本県のガイドラインは、落札者の決定を次のようにしています。

図 総合評価落札方式の決まり方(除算方式)評価値 = (標準点 + 加算点 + 施工体制評価点)÷ 入札価格この値がいちばん大きい者が落札します標準点入札に参加すれば得られる基礎点加算点企業の実績・技術者の能力で積む施工体制評価点品質確保と体制の確実性安いだけでは取れず、点が高いだけでも取れません加算点は、同種工事の実績・工事成績評定点・技術者の経験などで決まりますつまり、過去の仕事の積み重ねが、次の受注の分子になります

熊本県「熊本県土木部建設工事総合評価落札方式ガイドライン」(令和8年6月1日版)による。

評価値 = (標準点 + 加算点 + 施工体制評価点) ÷ 入札価格

分子が技術評価点、分母が入札価格。この値がいちばん大きい者が落札します。同点の場合は技術評価点で比べ、なお同じなら電子くじです。

簡易型Ⅰでは、標準点87.5点+加算点12.5点+施工体制評価30点で、満点130点という組み立てになっています。

02何で点が付くか

熊本県の評価項目は、大きく三つに分かれます。

区分 評価される内容
企業の評価 同種工事の実績、工事成績評定点、優良工事表彰、地域精通度、地域貢献度
技術者の評価 資格、工事経験、表彰の履歴、継続教育、若手技術者の配置
施工体制の評価 品質確保の実効性、施工体制確保の確実性(各15点、合計30点)

熊本市の簡易型(通常型)は、合計25.0点でより細かく配点されています。

企業評価(12.5点) 技術者評価(12.5点)
同種工事実績 4.0
工事成績評定点 6.0
優良工事表彰 1.0
ISO等 0.5
防災協定 0.5
受注件数 1.0
資格・雇用 2.0
同種施工経験 4.0
成績評定点 4.0
技術者表彰 1.0
継続学習 0.5
若手・女性技術者の追加配置 0.5

03工事成績が二度効く

表を見て気づいていただきたいのは、工事成績評定点が、企業の評価と技術者の評価の両方に入っていることです。熊本市の簡易型では、企業側で6.0点、技術者側で4.0点。合わせて10.0点で、25点満点の4割です。

そして工事成績は、入札参加資格の主観点でも大きく効きます(第7講。熊本市は50点〜△30点)。同じ一つの数字が、等級と落札の両方に効いてくる。

ここが総合評価の本質だと思います。いい施工をした会社が次を取りやすくなる、という仕組みです。逆にいえば、一度成績を落とすと、二重に響きます。

04どの工事が対象か

熊本県のガイドラインは、工事金額に応じて簡易型Ⅰ・簡易型Ⅱ・基本型Ⅰ・基本型Ⅱという型を設けています。簡易型Ⅰは550万円以上3,000万円未満の工事が対象です。それ以上の金額帯の区分については、県のガイドライン本体でご確認ください。

担い手の育成を目的とした型(担い手育成型)も、簡易型に組み込む形で試行されています。実績の少ない会社が入りやすい枠として設けられているものですので、これから公共工事に出ようという会社は、この型の公告に注意を向けておく値打ちがあります。

05準備しておくこと

やること いつ
過去の工事成績評定通知書を整理しておく 受け取った都度
同種工事の実績を、工種・金額・発注者で一覧にしておく 年1回
配置予定技術者の資格・経験・継続教育の記録をまとめる 技術者ごとに
若手技術者・女性技術者の配置を検討する 体制を組むとき
ISO・防災協定など、加点される認定を確認する 2年に一度の資格申請と同時に

総合評価の技術資料は、公告が出てから集め始めると間に合いません。実績と技術者の資料を、日ごろから一つのファイルにまとめておく。それだけで、出せる工事が増えます。

06確認先

内容 確認先
熊本県の総合評価落札方式 熊本県土木部土木技術管理課「熊本県土木部建設工事総合評価落札方式ガイドライン」
熊本市の総合評価方式 熊本市工事契約課「建設工事総合評価方式(簡易型)について」

※型の区分・評価項目・配点は見直されます。入札の前に、公告と発注機関の最新のガイドラインでご確認ください。

執筆体制

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