29業種の考え方 ── 一式工事は「なんでもできる許可」ではない
01許可は業種ごとに与えられる
建設業法第3条第2項は、許可を「別表第一に掲げる建設工事の種類ごとに」与えると定めています。土木一式工事・建築一式工事という二つの一式工事と、27の専門工事。合わせて29業種です。
ここで大事なのは、一式工事が「上位の許可」ではないということです。29業種は横に並んでいて、上下関係はありません。一式工事は、規模や複雑さから見て総合的な企画・指導・調整が必要な工事を指す、別の区分です。
建設業法第3条第2項および別表第一。一式工事と専門工事の関係は九州地方整備局「建設業許可関連Q&A」によります。
02一式工事の許可でできること
九州地方整備局の建設業許可関連Q&Aは、この点をはっきり書いています。一式工事の許可を受けていても、各専門工事の許可がなければ、500万円以上(税込)の専門工事を単独で請け負うことはできません。
では、建物の新築を元請として請け負う場合はどうか。その中には電気も管も内装も含まれますが、これは建築一式工事として請け負っているので、それぞれの専門工事の許可は要りません。分かれ目は「一式工事として請け負ったか」「専門工事として単独で請け負ったか」です。
| 受け方 | 必要な許可 |
|---|---|
| 住宅の新築を一件として請け負う | 建築一式工事の許可(金額が1,500万円以上または木造住宅150㎡以上の場合) |
| その現場の電気工事だけを700万円で請け負う | 電気工事業の許可。建築一式では請け負えません |
| 店舗の内装改修だけを800万円で請け負う | 内装仕上工事業の許可。「建物の工事だから建築一式」ではありません |
03自ら施工するなら専門技術者が要る
一式工事として請け負った工事の中の専門工事を、下請に出さず自社で施工する場合。このときは許可は不要ですが、その専門工事について主任技術者の資格を持つ「専門技術者」を置く必要があります。
下請に出す場合は、下請業者のほうがその専門工事の許可を持っていなければなりません(500万円以上の場合)。元請が一式の許可を持っていても、下請の無許可を補うことはできません。
04どの業種を取るかの決め方
業種を増やせば増やすほど、営業所技術者等を業種ごとに立てる必要が出てきます。維持の手間も増えます。実務では、次の順で考えると整理しやすいと思います。
| 順 | 考えること |
|---|---|
| 1 | 実際に単独で請け負っている工事は何か。過去3年の請求内訳を業種で分けてみると、取るべき業種はだいたい見えます |
| 2 | 元請から求められている業種は何か。下請として指名されるために必要な業種は、優先度が上がります |
| 3 | 入札で使う業種は何か。経営事項審査と入札参加資格は業種ごとです。狙う発注機関の発注区分に合わせます |
| 4 | 営業所技術者等を立てられるか。ここが実際の制約になります。資格者がいない業種は、取りたくても取れません |
迷いやすいのが、とび・土工・コンクリート工事と解体工事、鋼構造物工事と鉄筋工事といった境目のある業種です。工事の内容から業種を判定する基準は告示で定められていますので、判断に迷うときはご相談ください。
05つまずきの記録
| つまずき | 防ぎ方 |
|---|---|
| 建築一式で内装工事を単独受注していた | 受注の段階で、それが一式か専門かを分けて考える。税込500万円が線です |
| 業種を取りすぎて更新のたびに証明が重い | 実際に使っていない業種は、更新時に整理することもできます |
| 経審を受けたい業種の許可がなかった | 経審は許可のある業種でしか受けられません。入札の予定から逆算します |
06確認先
| 内容 | 確認先 |
|---|---|
| 29業種の区分 | 建設業法第3条第2項・別表第一(e-Gov法令検索) |
| 一式工事と専門工事の関係 | 国土交通省九州地方整備局「建設業許可関連Q&A」/建設業許可事務ガイドライン【第2条関係】 |
| 業種の判定 | 熊本県土木部監理課建設業班「建設業許可の手びき」 |
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