1級を持っていても、解体には置けないことがあります ── 分かれ目は合格した年度
01「1級を持っているから置ける」で止まる
解体工事の配置技術者を決めるとき、こう考えます。1級土木施工管理技士を持っている人がいる。解説書にも「1級土木で解体の技術者になれる」と書いてある。ならこの人でいい──。
ところが窓口で止まることがあります。資格証は本物で、種目も合っている。それでも足りない。足りないのは、実務経験です。
これまで解体工事の実績を書く欄がなかった会社ほど、ここでつまずきます。実績がないまま資格だけで押し切ろうとして、「この人の解体の経験は」と聞かれる。答えられない。
02分かれ目は、合格した年度です
解体工事業は平成28年6月1日に新設された業種です。それ以前の技術検定には、解体工事の内容が十分に含まれていませんでした。そこで、新設より前の合格者には、資格とは別に解体の経験を求めるという整理がされています。
熊本県が公開している資格一覧の注記は、こう書いています。
| 技術検定に係る資格は平成27年度までの合格者について、技術士試験に係る資格は当面の間、資格とは別に、解体工事に関する1年以上の実務経験を有している又は登録解体工事講習を受講していることが必要です |
対象になるのは、1級・2級の土木施工管理技士、1級・2級の建築施工管理技士、1級・2級の建設機械施工技士です。1級か2級かではありません。合格した年度です。
03技術士だけは、年度で分かれません
いま引いた注記を、もう一度読んでください。技術検定は「平成27年度までの合格者について」ですが、技術士は「当面の間」となっています。
つまり技術士(建設部門、または総合技術監理部門の建設)については、合格した年度に関係なく、いまも実務経験1年か講習が必要です。令和になってから合格した技術士でも変わりません。ここは見落としやすいところです。
| 資格 | 追加要件が必要な人 |
|---|---|
| 土木施工管理技士(1級・2級) 建築施工管理技士(1級・2級) 建設機械施工技士(1級・2級) |
平成27年度までの合格者 平成28年度以降の合格者は不要 |
| 技術士 | 当面の間、全員 |
| 解体工事施工技士 (登録解体工事試験) |
追加要件なし |
解体工事施工技士は、そもそも解体のための試験です。追加要件が付かないのは道理といえます。解体を主力にしていく会社なら、この資格を社内に持っておくのがいちばん確実です。
04講習を受けるか、経験を証明するか
足りないと分かったとき、道は二つです。
| 登録解体工事講習 | 解体工事の実務経験1年 | |
|---|---|---|
| やること | 1日の講習を受け、修了試験に合格する | 1年以上の解体工事の経験を書類で証明する |
| かかる時間 | 講習3時間50分+修了試験30分 | 経験そのものに1年 |
| 費用 | 9,900円(テキスト代・消費税込、インターネット申込) | — |
| 形式 | 対面のみ。オンラインはありません | — |
| 実施 | 公益社団法人 全国解体工事業団体連合会 | — |
ここに落とし穴があります。令和8年度の講習は、申込がすでに終了しています。「講習を受ければいい」と考えて後回しにすると、次の募集まで待つことになります。急ぎの案件があるなら、実務経験で証明する道を先に検討してください。
実務経験で行く場合は、その1年分の工事を裏づける資料が要ります。注文書や請書、工事の内容が分かる書類。過去の解体工事の記録が手元にあるかどうかが、そのまま可否になります。
05とび・土工で代えることは、もうできません
解体工事業の新設にあたっては、二つの経過措置が置かれていました。どちらもすでに終わっています。
| 経過措置 | 内容 | 終了 |
|---|---|---|
| 許可の経過措置 | 平成28年6月1日時点でとび・土工工事業の許可を持っていた業者は、解体工事業の許可を受けずに解体工事を施工できた | 平成31年5月31日 |
| 技術者の経過措置 | とび・土工工事業の技術者要件を満たす者を、解体工事業の技術者とみなした | 令和3年3月31日 |
「前はとびで通っていた」という記憶が社内に残っていることがあります。その運用は、5年以上前に終わっています。いま解体工事を請け負うなら、解体工事業の許可と、解体の要件を満たす技術者の両方が要ります。
なお、請負金額が500万円未満の解体工事だけであれば建設業許可は不要ですが、その場合も建設リサイクル法にもとづく解体工事業の登録が別に必要です。許可と登録は別の制度です。
06つまずきの記録
| よくある思い込み | 実際は |
|---|---|
| 1級を持っているから、解体も置ける | 平成27年度までの合格なら、実務経験1年か講習が要ります |
| 1級なら不要で、2級だけ厳しいのだろう | 1級も2級も同じです。分かれるのは合格年度です |
| 技術士は上位資格だから、追加は要らない | 技術士は当面の間、合格年度に関係なく必要です |
| 足りなければ講習を受ければいい | 令和8年度の申込は終了しています。対面のみで、随時受けられるものでもありません |
| 解体の経験はあるはずだから証明できる | 証明するのは書類です。工事の記録が残っているかを先に確かめてください |
| 前はとび・土工で通っていた | 許可は平成31年5月、技術者は令和3年3月で終わっています |
| 500万円未満なら何も要らない | 建設業許可は不要でも、解体工事業の登録が必要です |
いちばん多いのは二つ目です。1級か2級かで考えてしまう。実際に見るのは資格証の合格年です。配置を決める前に、そこだけは必ず確認してください。
配置を決める前に確かめること
- その人の資格は、技術検定か、技術士か、解体工事施工技士か
- 技術検定なら、合格したのは平成27年度までか、平成28年度以降か
- 平成27年度までなら、登録解体工事講習の修了証があるか
- なければ、解体工事の実務経験1年を証明できる書類があるか
- 技術士の場合は、合格年度に関係なく追加要件を確認したか
- 会社として、解体工事業の許可を持っているか(とび・土工では代えられません)
- 500万円未満で請ける場合、解体工事業の登録は済んでいるか
令和8年熊本地震にともなう解体と災害廃棄物の扱い、および許可の有効期間の延長については、令和8年熊本地震と、解体・災害廃棄物の実務をご覧ください。
07確認先
資格の取扱いは県の手びきで確認できます。申請の前に、必ず最新版をご覧ください。
| 熊本県の建設業許可・資格の取扱い | 熊本県 土木部 監理課(建設業担当)「建設業許可の手びき」 |
|---|---|
| 解体工事業の登録(500万円未満) | 熊本県 環境生活部(解体工事業登録の担当課) |
| 登録解体工事講習 | 公益社団法人 全国解体工事業団体連合会 |
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