配置技術者の「現場専任」実務ノート ── 基準額・兼任の三つの道・体制設計
構成:一 二つの「専任」を区別する/二 専任が必要になる工事/三 兼任を可能にする三つの道/四 経審・受注戦略との関係/五 つまずきの記録
第一章二つの「専任」を区別する
| 営業所の営業所技術者等(旧・専任技術者) | 現場の配置技術者の専任 | |
|---|---|---|
| どこにいる人か | 営業所に常勤(許可の要件) | 工事現場ごとに配置する主任技術者・監理技術者 |
| いつ問題になるか | 許可の取得・維持 | 一定額以上の工事を受注したとき |
| 兼ねられるか | 原則、現場の専任配置とは兼務不可(近隣・非専任現場等の例外運用あり) | 専任現場は原則1人1現場 |
この二つの混同が、体制設計の事故のもとです。専技を現場の専任に出すと営業所が空く──小規模な会社ほどここで詰まります。
第二章専任が必要になる工事
- 公共性のある施設・工作物等の重要な工事で、請負金額が4,500万円以上(建築一式は9,000万円以上)の場合、配置技術者は現場専任となります(令和7年の政令改正後の額。金額は物価を踏まえ改定されるため最新の政令で確認)
- この額未満の現場なら、主任技術者は複数現場の掛け持ちが可能です
- 下請でも同じ基準で専任が求められます。また元請で下請総額が一定額以上なら監理技術者の配置(と講習受講)が必要です
判定は税込の請負額です。追加変更契約で線を跨ぐと、途中から専任が必要になります。ぎりぎりの額の工事は、変更の見込みまで含めて配置を決めておいてください。金額は令和7年の政令改正後のもので、物価を踏まえて改定されます。最新の額は政令でご確認ください。
第三章兼任を可能にする三つの道
- 監理技術者補佐(技士補)の活用 ── 一級一次合格者等を補佐として現場に置けば、監理技術者は2現場まで兼任できます(特例監理技術者)。若手の一次合格を急ぐ理由がここにあります
- 遠隔管理による兼任制度 ── 改正建設業法により、ICT(映像・通信環境等)による遠隔管理の体制を整えた場合、一定規模以下の現場で専任配置の合理化(兼任)が認められるようになりました。要件(現場数・金額・連絡体制)は施行規則で確認が必要ですが、点在する中小規模現場を持つ会社には効く制度です
- 密接関連工事の一括専任 ── 近接した工作物の密接な関連のある二以上の工事は、同一の主任技術者で施工できる場合があります(発注者への確認が前提)
第四章経審・受注戦略との関係
- 専任問題の根治は技術者を増やすこと。二級→一級・技士補への計画的な資格取得はZ点(経審実務ノート)にも二重に効きます
- 受注計画は「工期×専任要否」のカレンダーで管理する。専任現場の工期が重なる時期に入札を重ねない、というだけで機会損失が減ります
- CCUS・施工体制台帳と配置技術者の情報は突合されます。名義だけの配置(在籍出向・他社兼務)は経審の虚偽申請と同様、最も重いリスクです
第五章つまずきの記録
| つまずき | 防ぎ方 |
|---|---|
| 追加変更で4,500万円を超え、専任者が出せない | 基準額の9割前後の工事は受注時から専任前提で設計 |
| 営業所の専技を現場専任に出してしまう | 専技と配置技術者の名簿を分けて管理。人繰り表に「専技」印を |
| 監理技術者講習・資格者証の期限切れ | 5年更新。技術者台帳に期限列を設けて年次確認 |
| 兼任特例の要件を満たさない運用 | 遠隔管理の体制(機器・規程)を文書で整備してから適用 |
※専任基準額・兼任制度の要件は改正が続いています。個別の工事での判定は、最新の政令・施行規則・発注者の運用で確認してください。
「この体制であと何件受けられるか」は、技術者名簿と手持ち工事の一覧があれば判定できます。受注拡大の前の体制診断としてご相談ください。
建設業許可・経営事項審査・入札参加資格を専門に扱っています。お客様の紹介で広がり、取引先は100社を超えました。
技術と設計の側から、評点の組み立てと施工体制について助言を受けています。
不動産・都市計画・開発許可・農地転用の実務ノートを100本以上載せています。土地から入る案件は、あわせてご覧ください。
RELATED ── 経審の記事
熊本で経審の受審・評点対策をお考えの方へ
行政書士村上事務所は、創業20年・支援実績100社超。許可の要件を満たせるか、経審で狙った評点・等級に届くかを、着手前に診断してお伝えします。初回相談は無料です。
経営事項審査 実務講座 第11講 / 全25講 ── 第四部 Z点(技術力)
前の講:第10講 Z点② 資格取得の投資順序
次の講:第12講 W点の全体像と2026年7月改正
→ 講座の目次(全25講)を見る
建設業許可 実務講座 第20講 / 全25講 ── 第四部 許可を取ったあとに続くこと
前の講:第19講 標識・帳簿・契約書 ── 現場と事務所に置いておくもの
次の講:第21講 許可の承継 ── 相続・譲渡・合併と、事前認可
→ 講座の目次(全25講)を見る
