CPDの「20ユニット」は、どこの数字か ── 経審と入札で、見ている単位が違います
01数字が三つ出てくる理由
「CPDは年に何ユニット取ればいいのか」と聞かれることがあります。答えにくい質問です。何のために取るのかによって、数字が変わるからです。
混乱のもとは、CPDという言葉が三つの場面で使われていることにあります。単位を認定する団体、経審の点数、そして入札の評価。この三つが、それぞれ別に数字を決めています。
02「20ユニット」は、団体の推奨です
まず20という数字から。これは全国土木施工管理技士会連合会(CPDS)が推奨している、1年間の単位数です。制度が決めた必要量ではありません。
建設系CPD協議会には複数の団体が加盟していて、推奨単位数は団体ごとに違います。
| 認定団体 | 年間の推奨単位 |
|---|---|
| 全国土木施工管理技士会連合会(CPDS) | 20ユニット |
| 日本技術士会 | 50単位時間 |
| 土木学会 | 50単位 |
| 建設コンサルタンツ協会 | 50単位 |
| 全日本建設技術協会 | 25単位 |
| 日本建築士会連合会 | 12単位 |
| 建設業振興基金 | 12単位 |
土木の現場技術者が使うのはたいていCPDSですから、現場では「20ユニット」という言い方が定着しています。ただ、これは土木施工管理技士会の数字です。技術士の方に「20取ってください」と言っても、その方の団体では50時間が目安になります。
03経審が見るのは、30単位です
経営事項審査のW点には「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況」という項目があります。ここで見るのは技術者1人あたりのCPD取得単位数で、30単位が満点です。
そして対象になるのは、審査基準日以前1年間に取得した単位です。決算日で区切られます。それより前に取った単位は、次の経審には乗りません。
団体の推奨どおりに年20ユニット取っている技術者でも、経審では30分の20です。満点にしたければ、あと10単位分の講習が要ります。ここを取り違えて「推奨は満たしているのに点が伸びない」となることがあります。
経審でのCPDの数え方と点数の組み立ては、経審のCPD・技能レベル向上 実務ノートで詳しく扱っています。
04入札は、発注者ごとに違います
ここがいちばん誤解されているところだと思います。入札におけるCPDの扱いに、全国共通のルールはありません。
国土交通省の直轄工事における総合評価落札方式の運用ガイドラインを確認しました。配置予定技術者について評価される項目として挙がっているのは、施工経験、工事成績、表彰等です。CPDは、この本体には出てきません。
では現場でCPDが問われるのはなぜか。地方整備局や自治体が、それぞれの運用で評価項目に加えているからです。たとえば北海道開発局が公表している総合評価の資料には、団体ごとの単位数が判定の目安として並んでいます。土木施工管理技士会なら20ユニット/1年間、40ユニット/2年間。技術士会なら50CPD時間/1年間、150時間/3年間、という具合です。
つまり、「何ユニット必要か」も「何年分で見るか」も、その工事の発注者が決めています。1年で見る発注者もあれば、2年で見る発注者もある。同じ会社の同じ技術者が、発注者によって足りたり足りなかったりします。
ただ、これは裏返せば絞り込めるという話でもあります。全国の運用を追いかける必要はありません。熊本で仕事をしているなら、見るのは九州地方整備局が出している総合評価の資料と、熊本県・市町村の入札公告です。自社の営業エリアの局だけ見ればいい、という使い方ができます。
その発注者が今年度どの工事を出すつもりなのかは、発注見通しで先に分かります。熊本県のものは設計金額の区分まで載っていて、地域振興局ごとに分かれています(熊本県の発注見通し情報(詳細版)の読み方)。
05熊本県については、いまは確かめようがありません
正直に書きます。熊本県の格付で使う「技術事項等評価項目」にCPDが入っているかどうか、現時点では確認できませんでした。
理由は日程です。令和9・10年度の入札参加者資格審査に係る申請要領のうち、格付に関係する技術事項等評価項目は、令和8年12月頃に公表される予定とされています。まだ出ていません。前の年度の要領はすでに県のページから外れていて、たどれませんでした。
推測で書くべきところではないので、ここは空けておきます。要領が公表され次第、確かめて追記します。公表時期は、定期申請の締切と近い時期になります。
06では、どう管理するか
数字が制度ごとに違う以上、「年に何ユニット」という一本の目標では足りません。誰が、どの団体で、いつまでに、いくつを並べて持つことになります。
| 見るもの | 押さえる点 |
|---|---|
| 技術者ごとの所属団体 | CPDSか、技術士会か、土木学会か。団体が違えば単位の数え方も推奨量も違います |
| 決算日 | 経審の対象は審査基準日以前1年間。決算日が区切りです |
| 狙う工事の発注者 | その発注者がCPDを評価するか、するなら何年分で何単位かを、公告と要領で確認します |
| 受講の時期 | 期末に詰め込んでも、対象期間を外れれば次の年に回ります |
実務としては、技術者名簿にCPDの列を足して、団体名・現在の単位数・直近の取得日を並べて持つのがいちばん確実です。決算日と、狙っている発注案件の公告時期を同じカレンダーに置けば、いつまでに何を受けさせるかが見えます。
07つまずきの記録
| よくある思い込み | 実際は |
|---|---|
| CPDは年20ユニット取ればいい | 20は土木施工管理技士会の推奨です。制度が定めた必要量ではありません |
| 推奨を満たしているから、経審も大丈夫 | 経審は30単位で満点。20なら3分の2です |
| 技術士にも20ユニット取らせる | 技術士会の目安は年50CPD時間です。団体で数え方が違います |
| 国が入札のCPD基準を決めている | 国の運用ガイドライン本体に項目はありません。発注者ごとの運用です |
| 去年たくさん取ったから今年は大丈夫 | 経審は審査基準日以前1年間。前年の分は乗りません |
| 期末にまとめて受ければ間に合う | 対象期間の外に出れば、その年の点にはなりません |
いちばん多いのは二つ目です。「推奨どおりやっている」と「点が満点になる」は別の話だと分けておいてください。
年に一度、確かめること
- 技術者ごとに、どの団体のCPDかを一覧にしているか
- 決算日から1年をさかのぼった期間の取得単位を、人ごとに把握しているか
- 経審で30単位に届いていない人が誰かを、決算日の前に確認したか
- 狙う発注機関がCPDを評価するかどうかを、公告や要領で確かめたか
- 評価する発注者について、何年分で何単位かを控えているか
- 受講の予定を、決算日より前に置いているか
08確認先
単位数や評価の扱いは、団体と発注者の双方で変わります。申請や入札の前に、必ず最新のものをご確認ください。
| 団体ごとの推奨単位 | 建設系CPD協議会(加盟団体別の推奨単位一覧) |
|---|---|
| 経審での扱い | 熊本県 土木部 監理課(建設業担当)/登録経営状況分析機関 |
| 県工事の入札・格付 | 熊本県 土木部 監理課(入札参加者資格審査の申請要領) |
| 県工事の総合評価 | 熊本県 土木部 土木技術管理課(総合評価落札方式ガイドライン) |
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