標識・帳簿・契約書 ── 現場と事務所に置いておくもの
01標識 ── 現場は元請だけになりました
建設業法第40条は、店舗および建設工事(発注者から直接請け負ったものに限る)の現場ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲げなければならないとしています。
ここは以前と変わっています。令和2年10月1日施行の改正で、工事現場の掲示義務は元請負人のみとなりました。下請の建設業者は、現場に許可票を掲げる義務がなくなっています。
古い解説や、更新されていない自治体の資料には「下請業者も掲示が必要」と書かれたままのものが残っています。現行法では、現場は元請だけです。ただし、店舗(営業所)の標識は引き続き必要です。ここを取り違えて、事務所の標識を外してしまわないようにしてください。
建設業法第40条・第40条の3、建設業法施行規則第25条・第26条・第28条による。現場の掲示が元請のみとなったのは令和2年10月1日施行の改正です。
02標識に書くこと
| 項目 | 店舗 | 工事現場 |
|---|---|---|
| 一般建設業または特定建設業の別 | 要 | 要 |
| 許可年月日、許可番号、許可を受けた建設業 | 要 | 要 |
| 商号または名称 | 要 | 要 |
| 代表者の氏名 | 要 | 要 |
| 主任技術者または監理技術者の氏名 | ― | 要 |
様式は建設業法施行規則で定められており、店舗用が別記様式第28号、工事現場用が別記様式第29号です。大きさは店舗が縦35cm以上×横40cm以上、現場が縦25cm以上×横35cm以上とされています。
現場用には、専任の有無、資格名、資格者証の交付番号を書く欄があります。配置技術者を変えたら、標識も直す。ここが実際にはよく漏れます。
03帳簿 ── 営業所ごとに、5年
建設業法第40条の3により、営業所ごとに帳簿を備え、保存する義務があります。保存期間は次のとおりです。
| 対象 | 保存期間 |
|---|---|
| 帳簿および添付書類 | 工事の目的物の引渡しから5年間 |
| 発注者と締結した住宅を新築する工事に係るもの | 10年間 |
| 営業に関する図書 | 10年間 |
帳簿に書くのは、営業所の代表者の氏名と就任日、注文者と締結した請負契約に関する事項、下請負人と締結した下請契約に関する事項などです。下請契約については、支払った下請代金の額・支払年月日・支払手段まで記載します。
添付するのは、契約書面またはその写し、下請代金の支払を証する書面またはその写し、施工体制台帳のうち該当部分です。
04「営業に関する図書」に、見積書が加わりました
10年間保存する図書には、完成図、発注者との打合せ記録、施工体系図が含まれます。そして令和7年12月の改正建設業法の完全施行にあわせて、次の二つが加わりました。
| 追加された図書 |
|---|
| 法第20条第1項に規定する材料費等記載見積書を作成したときは、当該見積書 |
| 契約締結前に必要に応じて作成した、その見積書の内容に関する注文者との打合せ記録 |
材料費等記載見積書というのは、工事の種別ごとに材料費・労務費などの内訳を記載した見積書のことです。価格転嫁と労務費のダンピング対策として設けられた仕組みで、作ったら10年残すということになりました。見積りそのものについては第23講、労務費については第24講で扱っています。
05違反したときの罰則
標識の掲示(法第40条)と帳簿の備付け・保存(法第40条の3)に違反した場合、10万円以下の過料です(建設業法第55条)。
金額としては大きくありません。ただ、立入検査で最初に見られるのがここです。標識が古いまま、帳簿が付いていない。そこから他の点検に進みます。逆にいえば、ここが整っている会社は、他も整っていると見られます。
06実務としての整え方
| やること | 時期 |
|---|---|
| 店舗の標識の許可番号・許可年月日を確認する | 更新のたびに(許可番号は変わりませんが年月日は変わります) |
| 代表者が変わったら標識を作り直す | 変更届と同じタイミングで |
| 現場の標識に配置技術者の氏名を入れる | 着工時。技術者を変えたら直す |
| 工事ごとに、契約書・支払記録・完成図をひとまとめにする | 引渡しのとき。あとから集めるのは大変です |
| 住宅の新築は別扱いにする | 保存期間が10年です |
07確認先
| 内容 | 確認先 |
|---|---|
| 標識の掲示 | 建設業法第40条、建設業法施行規則第25条(e-Gov法令検索) |
| 現場掲示が元請のみとなった改正 | 令和元年改正建設業法、令和2年10月1日施行 |
| 帳簿・図書の保存 | 建設業法第40条の3、建設業法施行規則第26条・第28条 |
| 令和7年12月施行分 | 国土交通省「改正建設業法 令和7年12月施行分 説明会」資料 |
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