決算変更届 実務ノート ── 毎年の義務を「経審の土台」に変える書き方
構成:一 期限と全体像/二 必要書類の一覧/三 工事経歴書の書き方 ── ここで経審が決まる/四 財務諸表の組み替え/五 出さないと何が起きるか/六 年間ルーティン化/提出前チェック
第一章期限と全体像
- 提出期限は事業年度終了後4か月以内(熊本県知事許可なら県へ。JCIPでの電子提出にも対応が進んでいます)
- 中身は「今期の工事実績」と「決算の報告」。つまり税務申告が終わってからでないと作れません。申告(2か月)→組み替え・作成(1か月)→提出、が標準の流れです
- 経審を受ける会社にとっては、ここで確定させる業種別の完成工事高がそのままX1評点の基礎になります。「とりあえず出す」ではなく「経審から逆算して作る」書類です
税務申告が終わらないと作れないため、実質的に動けるのは決算日から2か月が過ぎてからです。残りは2か月。ここで確定させた業種別の完成工事高は、後から経審の段階では直せません。届出を作る時点で、狙う業種まで見ておく必要があります。
第二章必要書類の一覧
| 書類 | ポイント |
|---|---|
| 工事経歴書 | 業種ごとに作成。書き方は第三章 |
| 直前3年の施工金額 | 業種別・元請下請別・公共民間別の集計 |
| 財務諸表(建設業法様式) | 貸借対照表・損益計算書・完成工事原価報告書・株主資本等変動計算書・注記表。税務決算書からの組み替えが必要(第四章) |
| 事業報告書 | 株式会社のみ |
| 納税証明書 | 法人事業税(知事許可の場合) |
| 使用人数・令3条使用人・国家資格者等の各書類 | 変更があった年に更新 |
第三章工事経歴書の書き方 ── ここで経審が決まる
- 経審を受ける場合は記載ルールが別物です。業種ごとに、元請工事を請負代金の大きい順に記載し、次いで下請工事──と、完成工事高の一定割合をカバーするまで記載する方式(記載件数・割合のルールは手引きで確認)。適当に数件書けばよい書類ではありません
- 配置技術者名を書く欄がある ── ここに書いた技術者と、専任配置・常勤性の整合が問われます。現場専任のルールと矛盾する記載は補正・調査のもとです
- 業種の振り分けはここで確定する ── 1件の工事をどの業種の完工高に計上するかは、契約内容に基づいて判断します。狙う入札業種に寄せる設計は可能ですが、契約書・注文書の裏づけと一致していることが絶対条件です(経審実務ノート第三章)
第四章財務諸表の組み替え
- 税務決算書の「売上高」を完成工事高と兼業事業売上高に分け、原価を完成工事原価報告書の様式(材料費・労務費・外注費・経費)に組み替えます
- この組み替えの精度は経営状況分析(Y点)の指標に直結します。兼業(不動産・物品販売等)の分離が雑だと、Y点が不当に低く出ることがあります
- 勘定科目の対応表を一度作れば翌年から機械的に回せます。初年度だけ専門家を入れて型を作るのが効率的です
第五章出さないと何が起きるか
| 影響 | 内容 |
|---|---|
| 更新が受理されない | 未提出分を全部出すまで更新申請が止まる。期限直前に数年分を慌てて作る事案が後を絶ちません |
| 業種追加・般特新規も止まる | 各種申請の前提条件 |
| 経審が受けられない | 公共工事ルートが閉じる |
| 罰則 | 届出義務違反(6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象)。実務上はまず指導ですが、放置の記録は残ります |
第六章年間ルーティン化
決算→申告(税理士)→組み替え・経歴書(行政書士)→決算変更届→(経審を受ける会社は)分析→経審、を毎年同じ月に回す。経審カレンダーに載せてしまえば、この届出は「毎年の作業」から「意識しない仕組み」になります。数年分未提出の会社も、まとめて整備すれば更新には間に合います。お早めに。
- 期限(決算後4か月)まで残り何日か
- 工事経歴書:記載ルール(元請順・カバー率)に沿っているか
- 経歴書の配置技術者と専任・常勤の整合
- 業種振り分けと契約書の一致
- 完成工事高と兼業売上の分離
- 納税証明書の取得
- 過年度の未提出はないか
※様式・記載ルールは熊本県の手引きで最新を確認してください。
「経審から逆算した決算変更届」への切替えは、次の決算からで間に合います。工事台帳と決算書があれば、現状の作り方の診断からお受けします。
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