常勤性と実務経験の証明 ── 何をもって足りるか
01常勤性の証明 ── 熊本県は健康保険証が使えなくなりました
長らく、常勤性は事業所名の入った健康保険被保険者証の写しで示すのが定番でした。ところが熊本県は、令和7年12月2日以降、健康保険証での確認を行わないとしています。
代わりに、次のいずれか一点を出します(いずれも写しで構いません)。
| 資料 | 備考 |
|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険 被保険者標準報酬決定通知書 | 毎年7月ごろに届く算定基礎の結果通知 |
| 市県民税 特別徴収税額通知書 | 毎年5〜6月に届くもの |
| 賃金台帳 | 直近3か月分 |
| 出勤簿 | 直近3か月分 |
| 源泉徴収簿 | ― |
熊本県土木部監理課「健康保険証での常勤性確認について」(2025年12月1日更新)による。大臣許可(九州地方整備局)とは取扱いが異なります。
ここで気をつけていただきたいのが、熊本県が公開している「建設業許可の手びき」の別添には、いまも「事業所名が記載された健康保険被保険者証の写し」と書かれたままだという点です。手びき自体が2021年の更新で止まっています。令和7年12月の通知のほうが新しく、そちらが優先します。
あわせて申し上げると、大臣許可(九州地方整備局)と熊本県知事許可では、確認資料の扱いが異なります。県外に営業所を出して大臣許可に切り替えた場合、揃える資料も変わります。
02「常勤」とは、どういう状態か
建設業許可事務ガイドラインは、常勤を「休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事している者」としています。テレワークによる場合も含まれます。
出向者については、九州地方整備局は出向協定書の写しを併せて提出することを求めています。出向元と出向先のどちらで常勤なのかを、書面で示す必要があります。
03実務経験の証明 ── 何を出すか
営業所技術者等を実務経験で立てる場合、その経験を裏づける資料が要ります。国土交通省のガイドラインは「特定の書類だけに限定する必要はない」としていますが、実際の取扱いは許可行政庁で違います。
| 行政庁 | 認められる資料 |
|---|---|
| 熊本県知事許可 | 工事請負契約書、注文書および請書、工事代金の請求書の控えまたは領収書の控え等で、実績の内容が明示してあるもの(年1件程度) |
| 大臣許可(九州地方整備局) | 建設業許可通知書の写し、工事請負契約書等(注文書、請書)。請求書は不可 |
熊本県は令和5年1月10日から、この確認を簡素化しています。請求書の控えでもよく、しかも年1件程度でよい。10年分で10件前後ということです。これは、実務経験ルートで申請する方にとって大きな違いです。
04期間の数え方
10年の実務経験といっても、数え方に決まりがあります。
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 重複期間 | 原則として二重に計算できません。同じ期間に電気工事と管工事の両方をしていても、それぞれ10年にはなりません |
| 例外 | 平成28年5月31日までに、とび・土工工事業の許可で請け負った解体工事の期間は、平成28年6月1日以降、とび・土工工事業と解体工事業の双方で二重に計算できます |
二重計算ができないということは、複数業種を実務経験だけで取ろうとすると、必要な年数がそのまま足し算になるということです。二業種なら20年。ここが実務上いちばん重い制約です。
0510年に届かないときの道
令和5年7月1日から、一般建設業の営業所技術者等の要件が緩和されています。
| 必要な実務経験 | 従来 | 追加された道 |
|---|---|---|
| 3年 | 大学・短大等(指定学科)卒業後 | 1級第1次検定に合格(対応する種目)した後 |
| 5年 | 高等学校(指定学科)卒業後 | 2級第1次検定に合格(対応する種目)した後 |
| 10年 | 上記以外 | ― |
1級の第1次検定合格者を大学の指定学科卒業者と同等に、2級の第1次検定合格者を高校の指定学科卒業者と同等にみなす、という改正です。第2次検定に合格していなくても、第1次検定の合格で年数が短くなります。これは知られていない道です。
資格の取得順序については第7講で詳しく扱っています。
06確認先
| 内容 | 確認先 |
|---|---|
| 熊本県の常勤性確認資料 | 熊本県土木部監理課「健康保険証での常勤性確認について」 |
| 熊本県の実務経験確認資料 | 熊本県土木部監理課「建設業許可申請手続きの見直しについて」 |
| 大臣許可の確認資料 | 国土交通省九州地方整備局「確認資料について」 |
| 実務経験の数え方 | 建設業許可事務ガイドライン(国土交通省) |
| 技術者要件の緩和 | 国土交通省 報道発表(令和5年5月12日)、令和5年7月1日施行 |
※確認資料の取扱いは変わることがあります。熊本県の手びき本体は改正に追いついていない箇所がありますので、申請の前に県の最新ページでご確認ください。
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