行政書士村上事務所

ICT施工 ── 中小がどこから入るか

ICT施工は「大手の話」と思われがちです。ただ、国土交通省が令和8年4月に公表した数字を見ると、ICT施工StageⅡの111件のうち69件はC等級の中小企業でした。半分以上です。この記事では、制度が何を目指しているのかと、中小がどこから入るのかを整理します。

導入費用の組み立ては建設業が使える補助金、BIMはBIM実務ノートで扱っています。

第一章i-Construction 2.0が目指しているもの

図 三つの柱と、めざす数字i-Construction 2.0 令和6年4月に公表施工オートメーション化データ連携デジタル化・ペーパーレス化施工管理リモート化・オフサイト化2040年度までに省人化3割 生産性1.5倍以上生産年齢人口が2割減ると見込まれるなかでの目標です

国土交通省「i-Construction 2.0 ~建設現場のオートメーション化~」(令和6年4月)による整理です。2023年度と比較した数値目標です。

ポイントは、これが省力化の話であって、高度化の話ではないことです。生産年齢人口が2割減ると見込まれるなかで、同じ量のインフラを整備し維持するために、少ない人数でやる。そのための三つの柱です。

建設会社の側から読み替えると、こうなります。人が採れないことを前提に、現場の回し方を変える。発注者の側もその前提で制度を組んできます。

第二章中小はもう入っています

図 中小がすでに入っていますICT施工StageⅡ 建設機械のデータを施工に使う取組令和6年度45件令和7年度111件うち69件はC等級の中小企業現場で出た効果アスファルト舗装1日の電話連絡 10回 → 0回人員 12人 → 6人掘削工事設計変更の協議 5日 → 2.1日機械の稼働データを使用令和8年度から本格運用の段階に入りました

国土交通省がi-Construction 2.0の2年目の成果として2026年4月28日に公表した内容です。自動施工は4件から9件、遠隔施工は21件から41件に増えています。効果の数字は個別の現場のもので、すべての現場で同じ結果になるとは限りません。

数字の意味を確かめておきます。ICT施工StageⅡとは、ICT建機を使うだけでなく、そこから出てくる施工データを実際の施工管理に使う取組です。起工測量から施工、出来形管理までを一続きのデータで回します。

効果として公表されているのは、たとえばアスファルト舗装の現場で1日の電話連絡が10回から0回、人員が12人から6人になったという例です。掘削工事では、機械の稼働データを使うことで設計変更の協議期間が5日から2.1日に縮まりました。

どちらも「機械が速くなった」話ではありません。連絡と協議にかかっていた時間が減ったという話です。人が減らせる理由はここにあります。

第三章どこから入るか

いきなり自動施工に行く必要はありません。順番があります。

  • まず測量から。ドローンやレーザースキャナによる3次元測量は、外注でも始められます。起工測量と出来形管理の手間が先に減ります
  • 次に建機。マシンガイダンス付きの建機はレンタルがあります。買う前に、自社の工種で効くかどうかを一現場で確かめられます
  • データを使うのはその後。StageⅡの段階です。ここまで来ると、発注者との協議のスピードが変わります

投資が要るのは二番目からです。買う判断の前に、レンタルで一現場やってみる。これがいちばん安く確かめる方法です。

第四章入札での扱い

ICT施工の実績は、総合評価方式の加点や、工事成績評定に反映されることがあります。発注者ごとに扱いが違うため、狙う発注機関の入札公告と評価基準を先に確認してください。

ここで効いてくるのが順番です。加点項目になってから始める会社と、その前に一現場やっている会社とでは、初回の点が違います。制度が要件化する前に実績を作っておく。振興プランを予告編として読むのと同じ考え方です。

確認始める前に確かめる五つ

  • 自社の主な工種で、ICT施工の対象工事が発注されているか
  • 3次元測量を外注で試せる先があるか
  • マシンガイダンス付き建機のレンタルで、一現場試せるか
  • 狙う発注機関の総合評価で、ICT施工がどう評価されるか確認したか
  • 設備投資をするなら、補助金の公募時期と決算期が噛み合うか
確認先(一次情報)i-Construction 2.0の内容と進捗は国土交通省が公表しています。ICT施工の要領・基準は各地方整備局および発注者ごとに定められており、対象工種と評価の扱いは発注機関で異なります。熊本県の工事については熊本県土木部の技術管理担当でご確認ください。設備投資と補助金の組み合わせについては、当事務所でもご相談を承っています。
執筆体制

行政書士村上事務所熊本市/創業2004年

建設業許可・経営事項審査・入札参加資格を専門に扱っています。お客様の紹介で広がり、取引先は100社を超えました。

顧問技術士・一級建築士

技術と設計の側から、評点の組み立てと施工体制について助言を受けています。

chiou.jp株式会社地央/姉妹サイト

不動産・都市計画・開発許可・農地転用の実務ノートを100本以上載せています。土地から入る案件は、あわせてご覧ください。

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