産廃収集運搬許可 実務ノート ── 「下請こそ要る」線引きと品目・申請の設計
解体・改修・新築、どの現場でも産業廃棄物は出ます。そして「自社のトラックで運んでいるだけ」のつもりが無許可運搬になっている――産廃収集運搬の相談で最も多いパターンです。この記事では、許可が要る場合・要らない場合の線引きから、品目選定・講習・申請実務・複数県対応までをまとめます。
構成:一 許可が要るのは誰か/二 要件と準備/三 品目の選定 ── 実務の要/四 申請の実務(費用・期間・複数県)/五 運用と更新/六 つまずきの記録
第一章許可が要るのは誰か ── 「排出事業者」で判定する
図 許可の要否と、申請の要点
元請のコンプライアンス調査で無許可運搬が見つかると、下請契約の継続そのものが危うくなります。
- 不要な場合:排出事業者が自らの廃棄物を自ら運ぶとき(自社運搬)。例:自社が元請の解体現場で出た廃棄物を自社で処分場へ運ぶ
- 必要な場合:他人の廃棄物を業として運ぶとき。ここで重要なのが、建設廃棄物の排出事業者は原則として元請だということ。つまり下請が現場の廃棄物を運ぶと「他人(元請)の廃棄物の運搬」になり、許可が必要です
- 「うちは下請だから関係ない」が逆で、下請こそ許可が要る構造。元請のコンプライアンス調査で無許可運搬が見つかると、下請契約の継続自体が危うくなります
第二章要件と準備
| 要件 | 実務 |
|---|---|
| 講習会の修了 | 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)の収集・運搬課程。予約が埋まりやすく、ここが最初のボトルネック。オンライン受講あり |
| 経理的基礎 | 債務超過・連続赤字の場合は追加資料(経理的基礎に関する説明書等)。決算内容によっては先に財務の手当てを |
| 運搬車両・容器 | 品目に応じた車両(平ボディ・ダンプ・コンテナ車等)と飛散防止の措置。車検証・写真で証明 |
| 欠格要件 | 役員等の欠格確認は建設業許可と同様 |
第三章品目の選定 ── 実務の要
- 許可は品目ごと(がれき類・廃プラスチック類・木くず・金属くず・ガラス陶磁器くず・汚泥…)。実際の現場から出るものを積み上げて選びます
- 建設系なら「がれき類・木くず・廃プラ・金属くず・ガラス陶磁器くず」あたりが定番の組み合わせ。石綿含有産業廃棄物・水銀使用製品を扱うかは現場の実態と体制で慎重に判断
- 品目を欲張ると車両・容器の整備負担が増え、絞りすぎると現場で運べないものが出る。元請からの要求品目を先に確認するのが実務の順序です
第四章申請の実務
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請先 | 熊本県(積替え保管なしの収集運搬)。積む県と降ろす県の両方の許可が必要(例:熊本で積んで福岡の処分場へ→両県) |
| 法定費用 | 新規81,000円・更新73,000円(1県あたり) |
| 審査期間 | おおむね1〜2か月(県・時期による) |
| 主な書類 | 講習修了証・事業計画(品目・運搬先)・車両の車検証と写真・決算書類・住民票/登記事項証明書等 |
第五章運用と更新
- マニフェスト(紙または電子)の運用が日常業務。電子マニフェスト(JWNET)は元請の指定で必須になる場面が増えています
- 車両には表示(社名・許可番号等)と書面の備付けが必要
- 許可は5年更新(優良認定で7年)。更新時も講習修了証の有効期限に注意(更新用の講習があります)
- 建設業許可・経審と同じく、決算・体制の変化は変更届の対象。年間の許認可カレンダーに載せて管理します
- 更新申請では、令和6年5月から添付書類の一部を省略できます。省略できる条件とできない場合、電子車検証で変わった「車検証の写し」の出し方は産廃更新、出す書類を減らせますで整理しています
第六章つまずきの記録
| つまずき | 防ぎ方 |
|---|---|
| 下請の立場で無許可運搬をしていた | 「排出事業者=元請」の原則を現場に周知。運ぶ前に許可の品目・区域を確認 |
| 講習の予約待ちで申請が数か月遅れる | 受注の見込みが立った時点で講習だけ先に予約 |
| 降ろす県の許可を忘れていた | 処分場の所在地ベースで必要な県をリストアップ |
| 債務超過で経理的基礎を疑義 | 決算の手当て(Y点対策と同じ打ち手)を先に |
※手数料・様式・講習の運用は改定されることがあります。最新は熊本県の案内とJWセンターで確認してください。
品目構成と必要な県の判定は、現場の実態(何を・どこへ運ぶか)を伺えれば即日お答えできます。産廃・運送LPもあわせてどうぞ。
執筆体制
行政書士村上事務所熊本市/創業2004年
建設業許可・経営事項審査・入札参加資格を専門に扱っています。お客様の紹介で広がり、取引先は100社を超えました。
顧問技術士・一級建築士
技術と設計の側から、評点の組み立てと施工体制について助言を受けています。
chiou.jp株式会社地央/姉妹サイト
不動産・都市計画・開発許可・農地転用の実務ノートを100本以上載せています。土地から入る案件は、あわせてご覧ください。
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