窓口が消えたあとに ── 電子申請と、事務所に残った仕事
先日、お客さんから電話がありました。経審の結果が見られない、と言われます。伺って、パソコンを借りて、JCIPを開いて、ログインして、ダウンロードして、プリントアウトして、お渡ししました。それで用は済みました。
これは代理申請の業務ではありません。パソコンの操作を代わりにやっただけです。請求書に書く項目もありません。それでも、こうしないとその会社は自分の経審の結果を見られない。
紙のころは、こうならなかった
紙で申請していたころ、こういうことは起きませんでした。窓口に出せば、控えに受付印を押してもらえる。結果は郵送で届く。書き方が分からなければ、窓口で聞けばよかった。分からない人のための場所が、制度の中にちゃんとありました。
電子申請になって、その窓口がなくなりました。代わりにマニュアルとヘルプデスクが用意されています。よくできたマニュアルです。ただ、マニュアルというのは、読める人のためのものです。
効率化されたのは、誰の手間だったか
電子化で行政側の手間が軽くなったのは間違いないと思います。郵送の処理も、窓口の対応も、書類の保管も減ったはずです。
事業者の側は、会社によって違います。毎年、決算変更届と経審を出していて、事務所にパソコンを使う人がいる会社は、確かに楽になりました。一方で、五年に一度の更新しかなく、パソコンを触る人がいない会社にとっては、以前より重くなっています。「全体として効率化された」という言い方は、この差を均してしまいます。
手間は消えていません。移っただけです。今回はそれが、うちのところに来た。それだけのことだと思っています。
パソコンが苦手なことと、仕事ができることは別
ここは書いておきたいところです。電子申請についていけない会社が、仕事のできない会社だということは、まったくありません。
何十年も現場を仕切ってきて、図面を読んで、段取りを組んで、若い者を育ててきた。そういう方が、パソコンだけは触らない。それは珍しいことでも、恥ずかしいことでもないと思います。手で覚えてきた仕事と、画面の中の操作は、別の種類の技術です。
制度が変わるとき、いちばん割を食うのは、たいてい規模の小さいところです。専任の事務員がいない。総務の担当がいない。社長が現場から帰ってきて、夜に書類を書いている。そういう会社ほど、新しい仕組みへの乗り換えが重くなります。
紙はまだ使えます。ただ、いつまでかは分かりません
いまのところ、熊本県は書面による申請も受け付けています。ただ、県は電子申請を進めたいとしていて、いずれ電子だけの取扱いになる見込みです。ですから最近は、紙のままで大丈夫ですよ、とは言わなくなりました。
とはいえ、締切に追われているときに初めてシステムを開く、というのがいちばん危ない。だから余裕のあるうちに、一度一緒に触っておきましょうとお伝えしています。今年の申請を電子でやるかどうかは、そのあとで決めればいい。
先に済ませておくなら、GビズIDの取得です。書面のやり取りがあるので、思ったより日数がかかります。ここだけ先に片づけておくと、いざというときに慌てません。
これも仕事のうちだと思う
プリントアウトして手渡すのは、たしかに行政書士の業務ではありません。けれど、その一枚を受け取ったときの顔を見ていると、これも引き受けるべき仕事のうちだと思います。
制度は変わり続けます。次はGビズIDの更新が来ます。またパソコンの前に呼ばれるでしょう。そのときは、また伺います。
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