欠格要件と誠実性 ── 役員等の範囲と、5年という期間
01誰にかかるのか
建設業法第8条は、許可をしてはならない場合を14の号で並べています。そして第12号・第13号により、法人ならその役員等および政令で定める使用人、個人ならその政令で定める使用人に該当者がいる場合も、会社として許可を受けられません。
建設業法第8条・第5条第3号。役員等の範囲は平成27年4月1日施行の改正で、相談役・顧問等に広がりました。
02「役員等」はどこまでか
ここが見落とされやすいところです。建設業法第5条第3号は、役員等を次のように定めています。
| 建設業法第5条第3号(括弧書き) | |
|---|---|
| 業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者又は相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者 |
つまり登記上の役員でなくても、実質的に会社を支配している人は役員等に含まれます。相談役、顧問、名誉会長といった肩書きの方がいらっしゃる場合は、確認が要ります。この範囲の拡大は平成27年4月1日施行の改正によるものです。
一方、建設業許可事務ガイドラインは、監査役、会計参与、監事、事務局長は原則として含まれないとしています。また、執行役員であっても、取締役会の決議を経て具体的な権限委譲を受けた者は「これらに準ずる者」に含まれます。
なお、株主については、総株主の議決権の100分の5以上を有する株主等が、許可申請書に添える株主調書の記載対象になります。
035年という期間
欠格要件の多くは「5年を経過しない者」という形をとっています。主なものを挙げます。
| 該当する場合 | 期間 |
|---|---|
| 許可を取り消された | 取消しの日から5年 |
| 取消処分の通知後に廃業届を出した | 届出の日から5年 |
| その通知前60日以内に法人の役員等であった | 廃業届の日から5年 |
| 拘禁刑以上の刑に処せられた | 刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年 |
| 建設業法・労働基準法・暴力団対策法などの違反による罰金刑 | 同上、5年 |
| 暴力団員であった | 暴力団員でなくなった日から5年 |
このほか、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、営業停止・営業禁止の期間中の者、心身の故障により建設業を適正に営むことができない者、未成年者でその法定代理人が該当する者、暴力団員等がその事業活動を支配する者が並びます。
04「禁錮」から「拘禁刑」へ
令和7年6月1日から、建設業法第8条の条文は「禁錮以上の刑」ではなく「拘禁刑以上の刑」になっています。刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号)により、懲役と禁錮が拘禁刑に一本化されたことに伴うものです。
実務上、判断の中身が変わるわけではありません。ただ、古い書式や古い解説には「禁錮」のままのものが残っています。手引きや参考書を見るときは、版がいつのものかを見てください。
05実務で起きること
| 起きること | 備え |
|---|---|
| 役員個人の交通事故(人身)で罰金刑を受けていた | 建設業法や労基法等の列挙された法令に関するものかを確認します。すべての罰金が該当するわけではありません |
| 過去に別会社の役員をしていて、その会社が許可を取り消されていた | 取消しの経緯と時期を確認します。通知前60日以内の役員だったかどうかが分かれ目です |
| 許可を受けたあとに役員が該当してしまった | 該当した日から2週間以内に届出が必要です。放置すると許可の取消しにつながります |
| 虚偽の記載で申請した | それ自体が許可の取消事由になり、その後5年の欠格が続きます |
最後の項目は、とくに申し上げておきたいところです。要件を満たしていないことを隠して申請するのは、満たしていないこと自体よりはるかに重い結果を招きます。いま満たしていないなら、満たすまでの道筋を立てるほうが早いことがほとんどです。
06確認先
| 内容 | 確認先 |
|---|---|
| 欠格要件 | 建設業法第8条(e-Gov法令検索) |
| 役員等の定義 | 建設業法第5条第3号/建設業許可事務ガイドライン(国土交通省) |
| 拘禁刑への改正 | 刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号)、令和7年6月1日施行 |
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