建設機械の保有(W点)実務ノート ── 1台目5点・リース1年7か月の読み方
第一章点数の刻み方 ── 1台目がいちばん大きい
1台目だけが5点、2台目から8台目までが1台につき1点、9台目からは2台で1点、14台以上で15点の頭打ちです。バックホウ1台でも総合評定値Pがおよそ6.6点上がります。「うちは1台しかないから」と見送るのはもったいない設計になっています。
台数と素点の対応は次のとおりです。よくある誤解が二つあるので、そこも並べておきます。
| 台数 | 素点 | P点への寄与(概算) |
|---|---|---|
| 0台 | 0点 | ― |
| 1台 | 5点 | 約6.6点 |
| 2台 | 6点 | 約7.9点 |
| 5台 | 9点 | 約11.8点 |
| 8台 | 12点 | 約15.8点 |
| 9台 | 12点 | 約15.8点 |
| 11台 | 13点 | 約17.1点 |
| 14台以上 | 15点(上限) | 約19.7点 |
誤解のひとつめは「2台目からずっと1台につき1点」。実際は8台目までが1点ずつで、9台目からは2台で1点になります。9台と8台は同じ12点、11台と10台は同じ13点です。買い足すなら8台目までが効きます。
ふたつめは「11台以上で上限15点」。上限に届くのは14台以上です。古い解説記事にこの誤りが多く残っています。
P点への寄与は、素点 × 10 × 175 ÷ 200 × 0.15 で計算しています。W点の係数は令和5年8月14日を審査基準日とする申請から175÷200です(それ以前は190÷200)。上限15点を「P点で約21点」としている資料は、旧係数のままの数字です。いまは約19.7点になります。
1台目が5点という設計は、平成30年4月1日の改正で入りました。それ以前は1台1点です。バックホウ1台でP点が約6.6点。災害のときに地域で動ける建設業者を評価するという趣旨で、地場の会社に有利な作りになっています。
第二章対象になる機械 ── 令和8年7月1日から2種類増えた
対象は告示と通知で定義された種類だけです。似た機械でも、メーカーの分類ではなく定義で判定されます。
| 機械 | 規格・能力の要件 | 検査 |
|---|---|---|
| ショベル系掘削機 バックホウ、ドラグライン、クラムシェル等 |
ショベル、バックホウ、ドラグライン、クラムシェル、クレーン、パイルドライバーのいずれかのアタッチメントを持つもの。自重の要件はありません | 特定自主検査 |
| ブルドーザー | 自重3トン以上 | 特定自主検査 |
| トラクターショベル | バケット容量0.4立方メートル以上 | 特定自主検査 |
| モーターグレーダー | 自重5トン以上 | 特定自主検査 |
| ダンプ車 | 自動車検査証の「車体の形状」欄が「ダンプ」「ダンプフルトレーラ」「ダンプセミトレーラ」であること | 自動車検査証 |
| アスファルト・フィニッシャ 令和8年7月1日から対象 |
自動車検査証の「車体の形状」欄に「アスファルト・フィニッシャ」と記載された大型特殊自動車 | 自動車検査証 |
| 移動式クレーン | つり上げ荷重3トン以上 | 移動式クレーン検査証 (製造時等検査/性能検査) |
| 不整地運搬車 令和8年7月1日から対象 |
労働安全衛生法施行令第13条第3項第33号に掲げるもの | 特定自主検査 |
| 高所作業車 | 作業床の高さ2メートル以上 | 特定自主検査 |
| 締固め用機械 | ローラー類(安衛令別表第7第4号) | 特定自主検査 |
| 解体用機械 | ブレーカ、鉄骨切断機、コンクリート圧砕機、解体用つかみ機(安衛令別表第7第6号) | 特定自主検査 |
令和8年7月1日の改正で加わったのが、不整地運搬車とアスファルト・フィニッシャです。能登半島地震での活用実績を踏まえ、災害対応力を評価する範囲を広げたものです。舗装業者と、山間部の工事を持つ会社は、いちど台帳を見直す価値があります。持っているのに数えていない、が起きやすいのはこの2種類です。
ダンプの判定は車検証の「車体の形状」欄です。最大積載量や表示番号(ゼッケン)の要件は、現行の通知には書かれていません。購入・入替のときは、車検証の記載を確認してください。
第三章所有とリースの要件
通知は、審査基準日において次のいずれかであることを求めています。
| 形態 | 要件 | 証明 |
|---|---|---|
| 自己所有 | 審査基準日に自ら所有していること | 売買契約書(または販売証明書)、市町村に申告した償却資産課税台帳 |
| リース | 審査基準日から1年7か月以上の使用期間が定められている契約であること。短期のリース・レンタルは数えられません | リース契約書 |
そのうえで、機械ごとに検査が行われていることが必要です。第二章の表の右列がそれにあたります。検査が切れている機械は、加点以前に法令違反です。
リースの「1年7か月」は、経審結果の有効期間と同じ長さです(建設業法施行規則第18条の2)。契約更新の時期と決算日の位置関係で、同じ機械が数えられたり数えられなかったりします。更改が審査基準日の直後に来る契約は、期間の取り方しだいで落ちます。リース契約の更改時期を経審カレンダーに載せておくのは、このためです。
第四章証明書類の実務
- 建設機械内訳書 ── 経審の添付資料です。熊本県では項番62として扱われます
- 所有またはリースの証明 ── 売買契約書(販売証明書)、償却資産課税台帳、リース契約書のいずれか
- 検査の証明 ── 特定自主検査記録表(ショベル系・ブルドーザー・トラクターショベル・モーターグレーダー・不整地運搬車・高所作業車・締固め用機械・解体用機械)、自動車検査証(ダンプ車・アスファルト・フィニッシャ)、移動式クレーン検査証(移動式クレーン)
- 台数分を一覧に整理して申請 ── 電子申請(JCIP)の様式に沿って
特定自主検査は、労働安全衛生法第45条第2項に基づく年次の検査です。有効期間のなかに審査基準日が入っている必要があると、各行政庁の手引きは説明しています。検査済標章の期限を台帳で管理してください。
第五章防災協定と合わせて考える
建設機械の保有と並べて見るべきなのが、W3の防災活動への貢献の状況です。防災協定を締結していれば素点20点、P点でおよそ26.3点。建設機械の上限15点(約19.7点)より大きい項目です。
締結先は国・特殊法人等・地方公共団体です。自社で直接結んでいなくても、加入している団体が国等と協定を結んでいれば加点の対象になり得ます。その場合は、団体の活動計画書や証明書で「防災活動に一定の役割を果たすことが確認できる」ことが要ります。証明書を出してもらえるかどうかを、まず団体に確かめてください。
複数の協定を結んでも重複して加点されることはありません。一つあれば20点、なければ0点という作りです。機械を持っていて協定がない会社は、ここが最初に取りにいくところになります。
P点への寄与は、防災協定が約26.3点、建設機械が最大約19.7点。合わせて約46点です。「約28点」「約21点」としている資料は旧係数のままの数字なので、計画を立てるときは新しい数字で見てください。
第六章つまずきの記録
| つまずき | 防ぎ方 |
|---|---|
| 対象機械を持っているのに申請していない | 償却資産課税台帳と対象一覧の突合を一度やる。1台でもP点で約6.6点 |
| 不整地運搬車・アスファルト・フィニッシャを数えていない | 令和8年7月1日から対象です。舗装・山間部の工事を持つ会社は台帳を見直す |
| 「11台以上で上限」と思って買い足しをやめた | 上限は14台以上。ただし9台目からは2台で1点なので、費用対効果は8台目までが高い |
| リース残期間が1年7か月に足りない | 更改を決算日の前に、期間を長めに設定する交渉を |
| 特定自主検査が切れている | 年次検査を業者任せにせず台帳管理。検査済標章の期限を確認 |
| ダンプの車体の形状が対象外だった | 車検証の「車体の形状」欄を購入・入替時に確認(ダンプ/ダンプフルトレーラ/ダンプセミトレーラ) |
| 旧係数のP点で計画を立てていた | 令和5年8月14日から175÷200です。上限15点は約19.7点、防災協定は約26.3点 |
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