CPDとレベル向上|行政書士村上事務所

経審のCPD・技能レベル向上 実務ノート ── 受けている講習を「点」に変える

経審のW(社会性等)に、技術者の学習(CPD)と技能者のレベルアップを評価する「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況」があります。素点は最大10点、総合評定値Pへの寄与はおよそ13.1点。すでに社員が受けている講習が、証明の取り方ひとつで点になったりならなかったりする領域です。この記事では、点の決まり方と、単位を「点に変える」実務をまとめます。

第一章何が評価されるのか

この項目は二本立てです。

対象 評価されること 証明
技術者 CPD単位(継続教育の受講実績)の取得状況 各CPD認定団体が発行する単位取得証明
技能者 能力評価のレベルアップ(CCUSのレベルが上位に上がった技能者の割合) 能力評価(レベル判定)の結果通知書

「学び続ける会社か」を、技術者は座学・研修で、技能者はCCUSのレベル向上で測る仕組みです。技能者側はCCUSの運用(CCUS実務ノート)と一体で考えます。

この項目は実務でよく「W10」と呼ばれますが、告示上は独立した番号ではなくWの下位号です。国土交通省の配点表では令和8年6月30日までW1-⑧、社会保険の減点3項目が削除された令和8年7月1日以降はW1-⑤に繰り上がっています。呼び名が資料によって違うのはこのためです。

第二章点はどう決まるか

ここが分かると、何をすればいいかがはっきりします。技術者側と技能者側を別々に0〜10点で出し、人数の比で加重平均するのがこの項目の構造です。

図1 点の決まり方技術者側 Z3CPD単位の合計 ÷ 技術者数= 一人あたりの平均単位数30単位以上で 10点技能者側 Z4レベルが上がった技能者の数÷(技能者数 − 控除対象者数)15%以上で 10点技術者数と技能者数の比で加重平均する評価値 = 技術者数÷(技術者数+技能者数)×Z3 + 技能者数÷(技術者数+技能者数)×Z4小数は切り捨て素点 0〜10点 → W点へ(×10×175÷200) → P点で最大およそ13.1点

技術者側と技能者側を別々に0〜10点で出し、人数の比で加重平均する仕組みです。技能者がいない会社ならCPDだけで10点、技能者だけの会社ならレベルアップだけで10点になります。

大事なのは、技術者側の分母が技術者数そのものだということです。「CPDを取った人が何人いるか」ではなく、「全技術者で割った平均単位数」で見ます。だから一人が大量に取っても平均は伸びません。

図2 エース1人より、全員で少しずつ1人が大量に取る基準値1人目2人目3人目4人目5人目平均は低いまま → 点は伸びない全員が基準値を満たす基準値1人目2人目3人目4人目5人目平均が上がる → 点になる縦軸:1人あたりのCPD取得単位(イメージ)

評価は技術者1人あたりの平均で見ます。だから社内で誰か一人に任せる形は点になりません。全員を制度に登録させ、閑散期にまとめて受講させる運用のほうが結果が出ます。基準単位数と換算率は告示で定められており改定があるため、計画の際は最新の手引きでご確認ください。

Pへの寄与は、素点10点 × 10 × 175 ÷ 200 × 0.15 で約13.1点です。W点の係数は令和5年8月14日から175÷200になっています(それ以前は190÷200)。古い記事や資料が「約14点」としているのは、旧係数のままの数字です。

第三章技術者側 ── 一人あたり30単位で満点

まず、団体ごとにばらばらの単位を、告示の数値で割って30倍し、統一単位に直します。

換算後の単位数 =(実際に取得した単位数 ÷ 告示別表の数値)× 30
小数点以下は切り捨て。一人あたり30単位が上限で、それを超える分は切られます。複数の団体で取っても合算はできません(一人につき、いずれか一団体の単位だけで計算します)。

主な団体の「告示別表の数値」は次のとおりです。つまり、その数値ぶん取れば換算後30単位、すなわち満点相当になります。

CPD認定団体 告示別表の数値 満点に必要な実取得
全国土木施工管理技士会連合会(CPDS) 20 20ユニット
日本建築士会連合会 12 12単位
建設業振興基金/日本建設業連合会/日本建築学会/建築設備技術者協会/電気設備学会 ほか 12 12単位
全国測量設計業協会連合会/森林・自然環境技術教育研究センター 20 20単位
全日本建設技術協会 25 25単位
日本技術士会/土木学会/建設コンサルタンツ協会/地盤工学会/空気調和・衛生工学会 ほか 50 50単位(時間)

換算後の一人あたり平均単位数を、次の区分に当てはめたものがZ3です。

一人あたり平均単位数 Z3 一人あたり平均単位数 Z3
30以上 10 12以上15未満 4
27以上30未満 9 9以上12未満 3
24以上27未満 8 6以上9未満 2
21以上24未満 7 3以上6未満 1
18以上21未満 6 3未満 0
15以上18未満 5

3単位刻みで1点ずつ動きます。技術者が5人いる会社なら、換算後の合計が150単位で満点、105単位なら平均21で7点。あと15単位でもう1点、という計算ができます。ここまで見えていれば、期末に「誰があと何単位取れば1点上がるか」を数えられます。

対象になるのは審査基準日以前1年間に取得した単位です。技術者数には、主任技術者・監理技術者の資格を持つ人のほか、1級・2級の第一次検定に合格した技士補も入ります。いずれも、審査基準日以前に6か月を超える恒常的な雇用関係があることが前提です。

なお、同じCPDでも、入札の総合評価で見られる単位数は経審の30単位とは別の数字です。「20ユニット」という数字を耳にされた方は、CPDの「20ユニット」は、どこの数字か ── 経審と入札で、見ている単位が違いますをあわせてご覧ください。

第四章技能者側 ── 3年で15%が満点

技能者側は「割合」で見ます。審査基準日以前3年間に、CCUSの能力評価が1段階以上上がった技能者が、技能者全体の何%か。

レベルが上がった技能者の割合 Z4 割合 Z4
15%以上 10 6%以上7.5%未満 4
13.5%以上15%未満 9 4.5%以上6%未満 3
12%以上13.5%未満 8 3%以上4.5%未満 2
10.5%以上12%未満 7 1.5%以上3%未満 1
9%以上10.5%未満 6 1.5%未満 0
7.5%以上9%未満 5

1.5%刻みです。技能者が20人なら、3年間で3人が1段階上がれば15%で満点。レベル1→2でも、3→4でも、同じ1人と数えます。2段階上がっても1人です。だとすれば、上がりやすい人から順に手をつけるのが合理的です。

分母の作り方に注意が要ります。ここでいう「技能者」は、審査基準日以前3年間に自社の建設工事の施工に従事した人で、施工体制台帳の作業員名簿に載る対象の人。6か月を超える恒常的な雇用関係があることも要ります。そして施工の管理だけをしていた人は、技能者数に入りません。

さらに、3年前の時点ですでにレベル4だった人は、分母から控除されます。すでに最上位で、これ以上上がりようがないためです。ベテランが多い会社ほど分母が小さくなり、割合は出やすくなります。

レベル判定の申請先は、職種ごとの能力評価実施団体です(CCUSのレベル判定システム経由)。評価の要素は、就業日数・保有資格・職長や班長としての就業日数の三つ。申請からカードが届くまで、おおむね1〜2か月です。必要な経験年数は職種によって違うので、その職種の能力評価基準で確かめてください。

第五章単位を「点に変える」実務

  1. 所属団体の棚卸し ── 技術者ごとに、どのCPD制度に登録できるか(保有資格で決まります)を一覧にする。未登録なら登録から。登録していないと過去の受講が単位にならない団体が多くあります
  2. 一人につき一団体を選ぶ ── 複数団体で取っても合算できません。二つ以上に登録している人は、実取得÷告示の数値がいちばん大きくなる団体を選びます
  3. 単位の取り方を現実的に ── いまはeラーニング・オンライン講習で単位が取れる団体がほとんどです。現場を止めずに、雨天日や閑散期にまとめて受講する運用が定着しやすい
  4. 証明書の取得 ── 経審の申請時期に合わせて、各団体へ単位取得証明の発行申請(審査基準日以前1年間の分)。ここを忘れると、受講していても加点できません
  5. 技能者側はレベル判定とセット ── CCUSの詳細型登録+能力評価申請。技能検定や登録基幹技能者講習の合格が、レベルアップの引き金になります

経審の申請では、次の書類がそろっている必要があります。

書類 中身
様式第4号 CPD単位を取得した技術職員名簿 誰が、どの団体で、何単位取ったか。申請書の項番46の数字と一致させます
CPD認定団体の単位取得(実績)証明書 各団体が発行。写しを添付
様式第5号 技能者名簿 技能者と、レベルが上がった人。項番47の数字と一致させます
能力評価(レベル判定)結果通知書 CCUS・能力評価実施団体が発行。写しを添付
作業員名簿の写し 審査基準日に動いている工事の施工体制台帳から
常勤性・雇用期間の確認書類 様式第4号・第5号に載せた全員分

様式番号は都道府県ごとに違うことがあります。熊本県は様式第4号・第5号で、令和8年7月版の手引きのP27〜28に記載要領があります。

第六章年間設計 ── 経審カレンダーに載せる

時期 やること
期首 技術者ごとの年間目標単位と受講計画(誰が・何を・いつ)を決める。目標は「換算後30単位」から逆算する
期中 四半期ごとに取得状況を確認。閑散期にeラーニングをまとめて受ける
期末3か月前 換算後の平均単位数を計算し、区分表と照らす。あと何単位で1点上がるかを出す
決算後〜経審申請 各団体へ証明書の発行を申請 → 経審の添付書類へ

この項目はZ点(資格そのもの)の手前にある「育成の見える化」です。資格取得計画(経審実務ノート第二章)と同じ表で管理すると、二重の手間になりません。

技能者側は3年間で見るため、動き出しはもっと早くなります。次の経審ではなく、その次を見て申請を始めてください。

決算日が近い会社は、逆算のしかたが変わります。9月決算なら、審査基準日をまたぐ前に手を打てるものと、いま動いても次の基準日からになるものがあります。9月決算の会社へ ── 審査基準日をまたぐ前に、まだ動かせるものに分けて並べました。

第七章令和8年7月1日の改正で変わったこと

令和8年2月6日に告示が公布され、令和8年7月1日から経審の審査項目・審査基準が改正されました。この項目については、評価の中身、算定式、配点10点のいずれも変わっていません。変わったのは位置と番号です。

  • 配点表の枝番がW1-⑧からW1-⑤へ(雇用保険・健康保険・厚生年金の未加入減点3項目が削除され、繰り上がったため)
  • 申請書の項番がCPD単位取得数 49→46、技能レベル向上者数 50→47へ
  • 参照する告示別表の番号が繰り替え(別表の中身、団体名と数値は同じ)

手元の様式や社内の記入マニュアルが旧項番のままだと、申請時に取り違えます。熊本県は令和8年7月版の手引きを公開しているので、そちらの項番に合わせてください。

同じ改正で、社会保険の未加入による各マイナス40点が削除され、「職人いきいき宣言」がW評価項目5点として新設されています。旧基準で結果通知書を持っている場合は、令和8年7月1日から10月28日まで、手数料のかからない再審査の申請ができます。

第八章つまずきの記録

つまずき 防ぎ方
受講したのに団体未登録で単位が付かない CPD制度への登録が先。会社負担で登録させるのが早い
証明書の発行申請漏れ 経審前チェックリストに「CPD証明書」を1行追加
対象団体でない民間セミナーばかり受けている 受講前に「告示別表の団体か」を確認する癖を。別表にない団体の講習は、いくら受けても0です
二つの団体に登録して、単位を足し算していた 合算できません。一人につき一団体。実取得÷告示の数値がいちばん大きい団体を選ぶ
一人が60単位取ったので満点だと思っていた 一人あたりの上限は30単位。超過分は切られ、平均も伸びません
技能者のレベルアップがゼロ(CCUS簡略型登録のまま) 詳細型への変更+能力評価申請。CCUS実務ノート参照
施工管理の社員を技能者名簿に入れていた 施工の管理だけに従事した人は技能者数に入りません。分母が膨らんで割合が下がります
「P点換算で約14点」という前提で計画していた 令和5年8月14日からW点の係数が175÷200に下がっています。いまは約13.1点です
確認先(一次情報)算定式と区分表は国土交通省の告示および「経営事項審査の事務取扱いについて」に定められています。CPD認定団体の一覧と告示別表の数値、様式第4号・第5号の記載要領は、熊本県「経営事項審査申請の手引き(令和8年7月版)」でご確認ください。令和8年7月1日施行の改正内容は熊本県「経営事項審査の改正について」に掲載されています。能力評価(レベル判定)は建設キャリアアップシステムの公式サイトと、職種ごとの能力評価実施団体へ。社員の資格・所属団体の一覧をお持ちいただければ、「いま何点相当か、満点まで何が足りないか」を無料相談で試算します。
執筆体制

行政書士村上事務所熊本市/創業2004年

建設業許可・経営事項審査・入札参加資格を専門に扱っています。お客様の紹介で広がり、取引先は100社を超えました。

顧問技術士・一級建築士

技術と設計の側から、評点の組み立てと施工体制について助言を受けています。

chiou.jp株式会社地央/姉妹サイト

不動産・都市計画・開発許可・農地転用の実務ノートを100本以上載せています。土地から入る案件は、あわせてご覧ください。

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