ファクタリングの前に|行政書士村上事務所

ファクタリング 実務ノート ── 使ってよい場面と、先に検討すべき五つの選択肢

ファクタリング(売掛債権の売却による資金化)は、建設業の「入金は先・支払いは今」という構造ゆえに広く使われていますが、手数料の高さから常用すると利益を食い潰す諸刃の剣です。この記事では、仕組みと相場、使ってよい場面・避けるべき場面、悪質業者の見分け方、そしてファクタリングの前に検討すべき選択肢を、順番に整理します。

構成:一 仕組みと相場/二 使ってよい場面・避けるべき場面/三 先に検討すべき五つの選択肢/四 悪質業者の見分け方/五 常用から抜ける道筋

第一章仕組みと相場

方式 仕組み 手数料の目安
3社間 取引先(発注者)に通知・承諾を得て債権譲渡 1〜9%程度
2社間 取引先に知られず資金化。回収は自社経由 8〜18%程度

注意すべきは、この手数料が「入金までの1〜2か月」に対する率だということ。2社間の15%を年利に換算すると年100%超に相当します。銀行融資(年1〜3%台)とは桁が二つ違う資金調達だと認識してください。

第二章使ってよい場面・避けるべき場面

  • 使ってよい:①突発的な大口受注で、材料先行費が一時的に膨らむ ②入金確実な債権があるのに、融資の実行が間に合わない ③創業直後等で融資枠がまだない──いずれも単発・臨時の利用です
  • 避けるべき:①毎月使っている(常用) ②手数料を払うと現場が赤字になる ③返済のために次のファクタリングを使う──この状態は資金繰りの問題ではなく収益構造の問題で、ファクタリングでは解決しません(資金繰りの実務ノートへ)
図 ファクタリングの前に見るところ先に検討する順番1前払金・出来高払いの交渉2支払サイトの交渉 ── 手形廃止・60日以内払いが標準に3当座貸越・短期継続融資 ── 都度の借入でなく枠で持つ4制度融資・公庫 ── 保証料補助があり金利面で有利5資本性借入金・DES ── 経審のY点にも効くそれでも足りないときに、単発・臨時で2社間の8〜18%は入金までの1〜2か月に対する率。年利に換算すると100%超

手数料の水準そのものより、期間の短さに対する率だという点が要点です。銀行融資の年1〜3%台とは桁が二つ違います。毎月使っている状態は資金繰りではなく収益構造の問題で、ファクタリングでは解決しません。

第三章先に検討すべき五つの選択肢

  1. 前払金・出来高払いの交渉 ── 公共工事なら前払金保証制度。民間too、改正建設業法の流れは受注者の資金負担軽減の方向です
  2. 支払サイトの交渉 ── 取適法で手形廃止・60日以内払いが標準化。受け取り条件の改善を求める根拠は制度側にあります
  3. 当座貸越・短期継続融資 ── 立替え構造が恒常的なら、都度の借入でなく枠(コミットメント)で持つ
  4. 制度融資・公庫 ── 熊本県・熊本市の制度融資は保証料補助があり、金利面で圧倒的に有利
  5. 資本性借入金・DES ── 財務体質そのものの改善(実務ノート)。経審Y点にも効きます

第四章悪質業者の見分け方

危険信号 意味
「償還請求権あり」(売掛先が倒れたら買い戻し) 実質は貸付。貸金業登録のない業者なら違法の可能性
手数料20%超・見積りの内訳を出さない 相場を大きく外れた搾取水準
「給与ファクタリング」「保証金の先払い」 論外。前者は違法と司法判断が確立
契約書を渡さない・債権譲渡登記の説明がない 後の紛争で不利になる典型

第五章常用から抜ける道筋

すでに毎月使っている会社は、①手数料の年間総額を計算する(たいてい想像の倍あります)、②その額を金利と見なして銀行・公庫の借換えを打診する、③並行して回収条件の交渉と現場別採算の見直しを行う──の順で、3〜6か月かけて抜けるのが現実的です。「ファクタリングをやめたい」という相談は、金融機関には言いにくくても、私たちには言えます。資金繰り表を持ってお越しください。

※手数料相場・制度は変動します。個別の契約は必ず契約書ベースで判断してください。当事務所は特定のファクタリング会社のあっせんは行いません。

執筆体制

行政書士村上事務所熊本市/創業2004年

建設業許可・経営事項審査・入札参加資格を専門に扱っています。お客様の紹介で広がり、取引先は100社を超えました。

顧問技術士・一級建築士

技術と設計の側から、評点の組み立てと施工体制について助言を受けています。

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不動産・都市計画・開発許可・農地転用の実務ノートを100本以上載せています。土地から入る案件は、あわせてご覧ください。

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