資材の高騰と納期の遅れ ── 契約で取り返す順番と、熊本県の特別融資
第一章何がどれだけ上がっているか
全国建設業協会が令和8年4月に実施した緊急アンケートの結果です。石油化学製品の基礎原料であるナフサを使う資材が、まとまって上がっています。
全国建設業協会が令和8年4月に実施した緊急アンケート(回答15社)の結果です。同協会は令和8年4月30日、金子国土交通大臣に「中東情勢に伴う建設資材の需給に関する緊急要望」を提出しています。数字はこの時点のもので、その後の動きは反映していません。
価格より先に効いてくるのが納期です。入荷未定、出荷制限、受注停止、予約制。金額が決まっても入らなければ工期が動きます。工期が動けば、現場経費と人の手配が全部ずれます。同協会は令和8年4月30日、金子国土交通大臣に「中東情勢に伴う建設資材の需給に関する緊急要望」を提出しました。
第二章まず契約で取り返す
資金繰りの話に行く前に、確かめることがあります。上がったぶんを請負代金に反映する仕組みは、契約書のなかにあります。
- 公共工事ならスライド条項。特定の資材が上がったなら単品スライド、労務単価が上がったならインフレスライド。いずれも受注者が請求しなければ動きません
- 民間工事なら、改正建設業法の下での見積内訳明示。品目別に積んだ見積は、そのまま値上げ交渉の根拠になります
- 納期の遅れについては、工期の変更協議を書面で残す。口頭で「待ってくれ」と言われたまま進めると、遅延の責任が自社に残ります
融資は、契約で取り返せなかったぶんを埋めるものです。順番を逆にすると、借りたお金で赤字を先送りすることになります。
第三章熊本県の特別融資
熊本県は、既存の「金融円滑化特別資金」に経済情勢変動対策枠を設けています。
米国の関税措置や中東情勢の変化の影響を受けた県内の中小企業者が対象です。条件は変わることがあるため、申込みの前に熊本県の案内でご確認ください。
利率は一般枠より抑えられています。使いどころは、材料費と外注費の支払いが先に来て、工事代金の入金が後になる期間です。立替えの期間が延びているぶんを、金利の低い資金で埋める。この使い方なら筋が通ります。
逆に、赤字の現場を回すために借りるのは危ない使い方です。その現場が赤字なのは資金の問題ではなく、契約の問題です。第二章に戻ってください。
第四章つまずきの記録
見積の有効期限を切っていなかった
資材が動く時期に、有効期限のない見積を出すと、受注時点で赤字が確定します。有効期限と、期限を過ぎた場合の取扱いを見積書に書いてください。
品目別の購入実績を残していなかった
単品スライドの請求では、品目ごとの変動額を示す必要があります。工事ごと・品目ごとに納品書と請求書を分けて残しているかどうかが、そのまま請求できる額になります。
納期の遅れを口頭で処理した
発注者の都合による遅れなのか、自社の手配の問題なのか。書面が残っていないと、後から区別できません。協議の記録は、工期の延長と増額の両方の根拠になります。
確認いま確かめる五つ
- 手持ち工事の契約書に、スライド条項や変更協議の定めがあるか
- 公共工事なら、残工期は2か月以上あるか。請求できる期間を過ぎていないか
- 値上がりした品目の購入実績を、工事ごとに出せるか
- 出している見積書に有効期限を書いているか
- 納期の遅れについて、協議の記録が書面で残っているか
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