脱炭素への転換|行政書士村上事務所

建設現場の脱炭素 ── 原則化の時期と、地場の会社に効いてくる順番

建設現場の脱炭素は、理念の話から発注の条件の話へ移りつつあります。国土交通省は2025年4月21日に「土木工事の脱炭素アクションプラン」を公表し、ICT施工、建設機械、コンクリートの三つについて、直轄工事での原則化の方向を示しました。時期が書かれている以上、地場の会社にとっても段取りの話になります。

01三つの分野に、時期が書かれた

図 脱炭素アクションプランで原則化される分野と時期直轄工事で、何がいつ原則になるか分野いまこの先ICT施工令和7年度から直轄工事の土工・河川浚渫工で原則化―建設機械令和7年度から電動建機のモデル工事を実施2027年4月に2030年燃費基準が発効2030年度頃を目途に油圧ショベルの使用を原則化コンクリート試行工事の発注により市場性を検証用途等を指定して使用を原則化セメントの55%を置換した場合、製造時のCO2排出量は約50%削減される※対象は国土交通省の直轄工事。地方公共団体の工事への適用は、この計画には書かれていない。

出典:国土交通省「国土交通省土木工事の脱炭素アクションプラン」(2025年4月21日公表)、および報道発表「低炭素型コンクリートの活用が全国的に拡大中」(令和7年3月14日)。

ICT施工は、令和7年度から直轄工事の土工と河川浚渫工で原則化が始まっています。建設機械は、2027年4月に2030年燃費基準が発効し、油圧ショベルについては2030年度頃を目途に直轄工事での使用が原則化される方針です。電動建機は令和7年度からモデル工事が動いています。

コンクリートは、まだ時期が確定していません。試行工事を発注して市場性を検証したうえで、用途等を指定して使用を原則化する、という書き方です。低炭素型コンクリートは、セメントの55%を置換した場合に製造時のCO2排出量が約50%削減されるとされています。

対象は直轄工事です

このアクションプランが対象にしているのは国土交通省の直轄工事です。都道府県や市町村の工事にどう及ぶかは、この計画には書かれていません。ただし、ICT施工がそうであったように、直轄で標準になったものが地方公共団体の発注に降りてくるまでの時間は、そう長くないのが通例です。

02地場の会社に、どこから効いてくるか

順番としては、まず機械、次に材料です。

  • 建設機械。2027年4月の燃費基準発効は、新規に導入する機械の選定に効きます。いま更新計画を立てるなら、その後に使う年数を考えて基準の対象になるかを確認しておくところです。
  • ICT施工。直轄では既に原則です。県や市の発注でも総合評価の項目に入ってくる場面が増えます。測量から出来形管理までを一連で回せる体制があるかどうかが、見られる側になります。
  • コンクリート。配合が変われば、強度発現の速さや打設後の管理が変わります。原則化の時期が決まる前に、試行工事の情報を追っておくと、いざ指定されたときの立ち上がりが違います。

03経営事項審査では、いま何が評価されるか

脱炭素そのものを直接評価する項目は、経営事項審査にはありません。環境に関する評価は、ISO14001とエコアクション21の認証の有無で入ります。金額の目安と、加点されない場合があることを含めて、エコアクション21 実務ノート ── 経審で3点、その3点にいくらかかるかにまとめています。

省エネ設備を導入したから経審の点が上がる、という仕組みは存在しません。入るのは認証の有無だけです。ここを取り違えると、投資の判断を誤ります。

04まとめ

脱炭素の話は、これまで大手の技術発表として流れてきました。しかしアクションプランに時期が入ったことで、直轄工事の仕様として降りてくる段階に入りました。地場の会社にとっては、機械の更新計画と、ICT施工を回せる体制の二つが、当面の実務です。材料の話はその次に来ます。

出典:国土交通省「国土交通省土木工事の脱炭素アクションプラン」(2025年4月21日)、同報道発表「低炭素型コンクリートの活用が全国的に拡大中」(令和7年3月14日)。

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