公共工事の前払金 ── 借りずに立替えを縮める
資材の高騰そのものへの対応は資材の高騰と納期の遅れ、請負代金の変更はスライド条項で扱っています。
第一章何が広がったのか
国土交通省発注工事についての取扱いです。地方自治体の発注工事では、それぞれの発注者が定めます。前払金の割合や保証の手続きは公共工事の前払金保証制度によります。
前払金は、工事に着手する前に受け取れるお金です。ただ、使いみちは「当該工事の施工に要する費用」に限られていて、厳密に運用すると現場を回すのに要る間接的な費用には充てられないという窮屈さがありました。
今回の取扱いで、現場管理費および一般管理費等のうち、その工事の施工に要する費用にも充てられることになりました。あわせて、これまで年度ごとに延長されてきた特例が恒久化されています。毎年の通知を待つ必要がなくなった、という意味も小さくありません。
第二章建設業の資金繰りは、構造的に立替えです
工事代金は完成後に入ります。材料費、外注費、人件費は先に出ます。この時間差が、建設業の資金繰りの正体です。工事の規模が大きいほど、立替える額も期間も増えます。
ここで前払金が効きます。着手前に受け取れるので、立替えの期間そのものを短くできます。借りるお金ではないので、金利もつきません。使途が広がったということは、この「借りなくてよいお金」で埋められる範囲が広がったということです。
資金が足りないときに、まず融資を考える会社は少なくありません。ただ順番としては、前払金と中間前払金を取れるだけ取ってから、足りないぶんを借りるのが安く済みます。
第三章手続きは保証事業会社を通します
前払金を受け取るには、公共工事の前払金保証制度による保証が要ります。保証事業会社と保証契約を結び、保証証書を発注者に提出する流れです。
実務で押さえておくことが二つあります。ひとつは専用の口座で管理すること。前払金は使途が定められているため、他の資金と混ぜず、専用口座で出入りを管理します。もうひとつは払出しの手続きで、口座から引き出すときに保証事業会社の確認を受ける仕組みになっています。
第四章つまずきの記録
請求できることを知らないまま着工した
前払金は請求して受け取るものです。発注者から声はかかりません。契約後、着工前の段取りに組み込んでおいてください。
中間前払金を使っていなかった
工期の中途で、一定の要件を満たすと中間前払金を請求できる工事があります。前払金と合わせると、立替える額はさらに小さくなります。契約書の定めを確認してください。
専用口座の管理が甘かった
他の資金と混ざると、使途の説明ができなくなります。工事ごとに分けて記録を残しておくのが安全です。
国と自治体の扱いを同じだと思っていた
今回の使途拡大は国土交通省発注工事についての取扱いです。県や市の工事では、それぞれの発注者の定めによります。熊本県・熊本市の工事については、発注者の運用をご確認ください。
確認受注したら確かめる四つ
- その工事で前払金を請求できるか。契約書の定めを見たか
- 保証事業会社との手続きの段取りは決まっているか
- 中間前払金の定めがあるか。要件は何か
- 前払金の専用口座を用意し、工事ごとに記録を分けているか
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