施工体制台帳|行政書士村上事務所

施工体制台帳 実務ノート ── 「作らされる書類」から元請責任の証明へ

施工体制台帳は「作らされる書類」と思われがちですが、実態は元請責任の証明書です。下請構造の透明化が法改正のたびに強まり、台帳の不備は監督処分・指名への影響に直結するようになりました。作成義務の範囲と、実務で漏れやすい箇所をまとめます。

構成:一 いつ・誰に義務があるか/二 記載と添付の要点/三 現場での運用/四 つまずきの記録

第一章いつ・誰に義務があるか

  • 公共工事:下請契約を締結したら金額にかかわらず作成(入契法)。写しの提出も求められます
  • 民間工事:特定建設業者が元請として、下請代金の総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)となる場合に作成(建設業法24条の8)。この額は令和7年2月1日に引き上げられました
  • あわせて施工体系図の作成・掲示、下請への再下請通知の徴取が義務です
図 台帳・体系図が必要になる場面施工体制台帳・施工体系図が必要になる場面公共工事入契法15条1項(金額の下限なし)民間工事建設業法24条の8(三つとも満たすとき)下請契約を締結した金額にかかわらず対象元請が特定建設業者である一般建設業者は対象外元請が建設業者である一般建設業者でも対象発注者から直接請け負った下請の立場では義務なし金額の下限はない平成27年4月に撤廃下請代金の総額が5,000万円以上建築一式工事は8,000万円以上台帳を作成して現場に備え置き、施工体系図を掲げる公共工事は台帳の写しを発注者へ提出(入契法15条2項)体系図の掲示場所も、公共工事は「公衆が見やすい場所」が加わる

民間工事の金額は建設業法施行令第7条の4。公共工事は入契法15条1項が同項の金額要件を「下請契約を締結した」と読み替えるため、下限がありません。

第二章記載と添付の要点

項目 漏れやすい点
下請各社の許可・技術者 主任技術者の資格・専任非専任の別。専任基準との整合
契約書の写し 注文書・請書だけで契約約款がないケース。変更契約の追補漏れ
社会保険の加入状況 未加入下請の記載→指導の対象。下請選定の段階で確認を
再下請負通知書 二次以下の把握漏れ。通知書の様式を協力会社に事前配布しておく

第三章現場での運用

  1. 契約と同時に台帳を起こす(着工後にまとめて作ると必ず抜けます)
  2. 変更(下請追加・技術者交代)の都度更新。コリンズの変更登録と同じタイミングで処理すると漏れません
  3. 建設Gメンの調査・発注者の点検は台帳から入ります。「台帳が整っている会社」という評価自体が営業資産です

第四章つまずきの記録

つまずき 防ぎ方
二次下請の把握漏れ 再下請負通知の徴取をルール化。一次下請との契約書に明記
技術者交代の未反映 台帳・体系図・コリンズを「同日更新」のセットに
作成基準額の勘違い(改正で変動) 特定建設業の基準額は政令改正で動くため最新を確認

台帳・体系図の様式整備と運用ルールづくりは、1現場分のひな形を作れば全現場に展開できます。整備のご相談は許可LPからどうぞ。

執筆体制

行政書士村上事務所熊本市/創業2004年

建設業許可・経営事項審査・入札参加資格を専門に扱っています。お客様の紹介で広がり、取引先は100社を超えました。

顧問技術士・一級建築士

技術と設計の側から、評点の組み立てと施工体制について助言を受けています。

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不動産・都市計画・開発許可・農地転用の実務ノートを100本以上載せています。土地から入る案件は、あわせてご覧ください。

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