地下水保全条例 ── 深さ10mを超える工事と、汲んだら還す考え方
用地の入口で当てる網については道路位置指定の実務ノートもあわせてご覧ください。
第一章条例が二つあります
熊本の地下水には、熊本県地下水保全条例と、熊本市地下水保全条例の二つがかかります。県の条例は地下水を採ること、市の条例はそれに加えて地下を掘ること・水を還すことまで見ています。熊本市内の工事では、両方を確認することになります。
第二章県の条例 ── 採る量ではなく、口径で決まる
県の条例で意外に思われるのが、許可か届出かを決めるのが揚水機の吐出口の断面積だという点です。汲んだ量ではありません。設備の大きさで先に決まります。
熊本県地下水保全条例による区分です。重点地域は熊本地域の11市町村。断面積の数値と地域の指定は改正されることがあるため、着手前に熊本県の地下水保全のページでご確認ください。
熊本地域は重点地域に指定されていて、基準がいちばん厳しくなっています。他の地域なら届出で済む規模でも、熊本地域では許可が要ることがあります。同じ会社が同じ設備を持ち込んでも、現場の場所で扱いが変わります。
第三章熊本市の条例 ── 深さ10mを超える地下工事
建設業者がいちばん引っかかるのがここです。
熊本市地下水保全条例による届出です。開発行為は都市計画法第4条第12項に定めるもの。様式は熊本市のページで公開されています。熊本市以外の市町村では、県の条例と各市町村の定めをあわせて確認してください。
地下水を採るつもりがなくても、深さが10mを超える地下工事なら届出の対象です。山留めを伴う掘削、地下車庫、大きな基礎。設計の段階では深さが決まっていなくても、施工で10mを超えることがあります。着工前に一度、深さを図面で確かめてください。
開発行為に伴う雨水浸透施設についても、設置確認書を出すことになっています。造成の計画を組む段階の話で、着工してからでは間に合いません。
第四章汲んだら還す ── 涵養という考え方
熊本の地下水制度で他県と違うのが、採ることと還すことが対になっているところです。県の条例では、許可を受けて地下水を採る事業者に、使用合理化計画書と涵養計画書の提出が求められます。合理化計画については、その実施状況を毎年知事に報告することになっています。
合理化の中身は、節水型の機器や設備の導入、冷却用水などの循環使用、雨水利用施設の使用促進です。涵養のほうは、雨水浸透施設の設置による敷地内での涵養、水田湛水事業、水源涵養林の整備などが挙げられています。
建設業者から見ると、これは規制であると同時に仕事でもあります。雨水浸透施設の設置、水田湛水、涵養林の整備は、いずれも施工の対象です。立地を検討する企業に、造成計画とあわせて涵養の組み立てを示せる会社は、上流から入れます。
第五章つまずきの記録
設計は9mだったが、施工で10mを超えた
地下工事の届出は深さで決まります。根切り深さが計画から変わったときは、届出の要否も変わります。設計変更の打合せに、この確認を入れておくと漏れません。
県の条例だけ見て、市の届出を落とした
熊本市内では、県と市の両方がかかります。県の窓口で許可の話をして安心し、市の地下工事届出書が抜ける、という順番の落とし方があります。
造成の計画が固まってから涵養の話が出た
雨水浸透施設は、配置と面積が決まってから足せるものではありません。涵養は造成計画そのものの一部です。立地の相談を受けた段階で、水の話を同じテーブルに載せてください。
一時的な工事だから要らないと判断した
工事に伴う地下水の取扱いは、期間の長短だけで決まるものではありません。自己判断で外さず、窓口に当てるのが早道です。
確認着工前に確かめる五つ
- 現場は重点地域(熊本地域)に入っているか。県の地域区分を確認したか
- 掘削の深さは10mを超えるか。熊本市内なら地下工事の届出が要らないか
- 開発行為を伴うか。雨水浸透施設の設置確認書は要らないか
- 揚水機を持ち込むなら、吐出口の断面積はいくつか
- 許可を受けて採る場合、使用合理化計画書と涵養計画書の準備はあるか
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