官公需基本方針|行政書士村上事務所

令和8年度 国等の契約の基本方針 ── 工事は54.5%、新規は1.53%

令和8年4月21日、国等の契約の基本方針が閣議決定されました。国が一年間に発注する仕事のうち、どれだけを中小企業に回すかを決める文書です。今年度の目標は比率61%・約6兆4,572億円。比率は据置きですが、金額は前年度から5,379億円増えました。建設業に関わる記述には、改正建設業法を受けた変化があります。

構成:一 今年度の目標/二 工事の実績はどうだったか/三 建設業に関わる記述/四 受注側として使えるところ

第一章今年度の目標

項目 令和8年度 令和7年度
中小企業者向け契約の比率 61% 61%(据置き)
同 金額 約6兆4,572億円 約5兆9,193億円
新規中小企業者向け 3%以上 3%以上(据置き)

新規中小企業者とは、創業から10年未満の会社です。比率の目標は据え置かれましたが、方針は「取組を加速して着実な目標達成を図る」としています。

第二章工事の実績はどうだったか

直近で公表されている実績は令和6年度分です(令和7年10月31日公表)。

区分 官公需総額 中小企業者向け 比率
全体 113,728億円 54,003億円 47.5%
工事 44,072億円 24,002億円 54.5%
物件 48.9%
役務 38.6%

工事は54.5%と、三つの区分の中で最も高い比率です。国土交通省だけを見ると、33,557億円のうち56.5%が中小企業者向けでした。分離分割発注が定着している分野だと読めます。

新規中小企業者向けは1.53%で、目標に届いていない

創業10年未満の会社への発注は1,739億円、比率にして1.53%。目標の3%の半分程度にとどまっています。

裏を返せば、創業10年未満であること自体が、官公需では有利に働き得るということです。目標未達の枠であり、国は取組の加速を掲げています。

図 区分ごとの比率と、今年度の目標工事は、中小に回る比率がいちばん高い工事54.5%物件48.9%役務38.6%全体47.5%令和6年度 官公需 中小企業者向け契約の比率令和8年度の目標61%約6兆4,572億円新規中小企業者向け(創業10年未満)1.53%目標は3%以上。届いていない工事の比率が高いのは、分離分割発注が定着しているから創業10年未満であること自体が、官公需では有利に働き得る

比率は令和6年度の実績(令和7年10月31日公表)、目標は令和8年度の基本方針によります。令和7年度の実績は未公表です。

第三章建設業に関わる記述

今年度の方針で、建設に関係する部分を拾います。原文の趣旨は次のとおりです。

  • 分離・分割発注 ── 効果的・効率的な執行に資すると認められた場合は、確実に実施する
  • 地域要件 ── 地域の建設業者の活用で円滑・効率的な施工が期待できる工事では、適切な地域要件の設定や地域への精通度の評価を行う
  • 共同請負 ── 公共工事では共同請負の適切な活用を一層推進し、中小建設業者の受注機会の増大を図る
  • 工期と休日 ── 休日の付与、発注時期の平準化、工期の変更等の状況をモニターし、契約の実態把握に努める
今年度、強められた記述

建設業法第34条第2項に基づく「工期に関する基準」と「労務費に関する基準」を踏まえ、適正な工期の確保と、労務費・原材料費・エネルギーコスト等の実勢価格を反映した適正な請負代金の設定を行う、という記述が入りました。

令和7年12月に全面施行された改正建設業法が、官公需の方針にも接続したかたちです。労務費の基準は、公共工事の発注側にも効いてきます。

あわせて、スライド条項についても「あらかじめ当該変更についての条項を契約に適切に設定するとともに、当該条項の運用基準を策定する」とされています。低入札価格調査制度の活用や、入札金額内訳書の提出によるダンピング対策の記述も継続しています。

第四章受注側として使えるところ

  1. 分離発注の情報を早く取る ── 大型案件でも、分割されれば地場が入れます。発注見通しの公表を定期的に確認する
  2. 地域要件を満たす体制を示せるか ── 営業所の所在、地域への精通度が評価される場面があります
  3. 共同請負(JV)の相手を持っておく ── 単独で届かない規模に手が届きます
  4. 創業10年未満なら、その事実を意識する ── 新規中小企業者の枠は目標未達です
  5. スライド条項の運用基準を確認する ── 条項があっても、運用基準を知らなければ申請できません

※数値は「令和8年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針」(令和8年4月21日閣議決定)および中小企業庁公表の令和6年度契約実績によります。

入札参加資格の取得から、分離発注案件の拾い方、スライド条項の申請まで、公共工事に入る一連の流れをお手伝いしています。

執筆体制

行政書士村上事務所熊本市/創業2004年

建設業許可・経営事項審査・入札参加資格を専門に扱っています。お客様の紹介で広がり、取引先は100社を超えました。

顧問技術士・一級建築士

技術と設計の側から、評点の組み立てと施工体制について助言を受けています。

chiou.jp株式会社地央/姉妹サイト

不動産・都市計画・開発許可・農地転用の実務ノートを100本以上載せています。土地から入る案件は、あわせてご覧ください。

無料診断 ── 「うちは取れるのか」を、着手前にはっきりさせます

建設業許可の要件を満たせるのか。経営事項審査で狙った評点・等級に届くのか。行政書士村上事務所が御社の状況を伺い、見通しと、足りないものを診断してお伝えします。熊本で創業20年・支援実績100社超。判断の材料をお持ち帰りいただくところまでが無料です。

建設業許可経営事項審査・評点対策入札参加資格 / 096-285-3993(平日10:00〜12:00/13:00〜17:00)|お問い合わせ

PAGE TOP