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初めての経営事項審査|行政書士村上事務所

初めての経営事項審査(経審) ── 流れ・費用・スケジュールの基本

「経審は受けとるね?」──元請からそう聞かれて、初めて調べ始めた。あるいは、公共工事を取りにいこうと決めて、何から手をつければいいのか分からない。この講は、その段階の社長に向けて書いています。何が要るのか、いくらかかるのか、いつ始めれば間に合うのか。順番に整理します。

構成:一 経審は何のためにあるか/二 四つの工程と、かかる期間/三 費用の実額/四 いつ動き出すか/五 最初に決めておくこと/六 つまずきの記録/はじめての方のチェックリスト

第一章経審は何のためにあるか

公共工事を元請として直接請け負うには、経営事項審査を受けなければなりません。建設業法で決まっています。下請として入るだけなら要りませんが、発注者から直接受けるなら避けて通れません。

経審を受けると、会社の規模・財務・技術力・社会性を点数化した総合評定値(P点)が出ます。発注者はこのP点に独自の点数を足して、業者を等級(A・B・Cなど)に振り分ける。その等級で、入札できる工事の大きさが決まります。

図1 公共工事にたどりつくまでの四段階建設業許可土木・建築ほか29業種STEP 1経営事項審査会社の点数(P点)STEP 2入札参加資格発注者ごとに登録STEP 3公共工事の受注指名・入札に参加STEP 4

経審は、それ自体が目的ではありません。入札参加資格を申請するために必要な、途中の一段です。許可がなければ受けられず、経審を受けただけでは工事は取れません。

経審は真ん中の工程です。ここを飛ばして名簿には載れません。

では、その点数は何で決まるのか。総合評定値(P点)は、五つの要素の配分で組み立てられています。

図2 P点は五つの要素の配分で決まるX125%完成工事高X215%自己資本・利益Y20%経営状況Z25%技術力W15%社会性等総合評定値 P点の構成比

X1とZで半分を占めます。完成工事高と技術者の数──この二つが動かないかぎり、点数は大きくは変わりません。逆に言えば、W点は配分こそ15%ですが、加点項目を積めば短期間で動かせる唯一の領域です。

第二章四つの工程と、かかる期間

「経審を受ける」と一言で言いますが、実際には四つの工程があります。ここを知らずに動き出すと、必ず時期を誤ります。

工程 内容 期間の目安
一 決算の確定 決算を締め、税務申告を終える 決算日から約2か月
二 決算変更届 県へ提出。事業年度終了後4か月以内が期限
三 経営状況分析 登録分析機関へ申請し、Y点を出してもらう 1〜2週間
四 経審の申請 県へ申請し、結果通知を受け取る 1か月以上
図3 決算日から逆算した経審のスケジュール012345678か月決算日決算の確定決算変更届の期限経営状況分析の申請経審の結果通知決算日から結果が届くまで おおむね4〜7か月経審の有効期間 審査基準日から1年7か月続く

決算変更届の4か月は法定の期限です。ここが遅れると、その先がすべて後ろにずれます。3月決算なら7月末、9月決算なら翌1月末。まずこの日付を手帳に入れるところから始まります。

決算日から結果通知まで、通しておよそ4〜7か月。繁忙期はさらに延びます。「今から受けたい」と言われても、その場で受けられるものではありません。

つまずきやすいところ決算変更届を出していないと、そこで止まります。初めての方がいちばん多くつまずくのがここです。数年分ためている会社は、まずその全部を出すところから始まります。3期分たまっていれば、3期分すべて。ここだけで一か月かかることもあります。

第三章費用の実額

経審そのものにかかる法定費用は、それほど大きくありません。

費目 金額
経営状況分析(登録分析機関) 1.3万円前後(機関により異なります)
経営規模等評価・総合評定値請求(熊本県) 8,500円+2,500円×業種数

3業種で受けるなら、県への手数料は8,500円+7,500円で16,000円。分析費用と合わせて3万円前後が目安です。これに行政書士へ依頼する場合の報酬が加わります。

16,000県への手数料(3業種)
約3万円法定費用の合計目安
4〜7か月決算日から結果通知まで

金額は年度や機関によって変わります。申請前に必ず最新の案内でご確認ください。

第四章いつ動き出すか

結論から言えば、決算日の前です。

意外に思われるかもしれません。経審は決算が終わってから受けるものだからです。ただし点数を決める要素の多くが、決算日時点の状態で判定されます。

決算日時点で判定されるもの

  • 自己資本の額
  • 技術職員として数えられる人(6か月を超える雇用があるか)
  • W点の加点の多く(CCUS、建退共、各種認定など)

決算が終わってから「点数を上げたい」と言われても、その年についてはほとんど打つ手がありません。初めての年こそ、決算の3〜6か月前に一度相談しておくと、一年分の差がつきます。

有効期間は1年7か月

結果通知は審査基準日(=決算日)から1年7か月有効です。1年ではなく1年7か月なのは、前述の4〜7か月を制度が織り込んでいるからです。裏を返せば、実務上の余裕は7か月しかありません。

ここを外すと「空白期間」が生まれます。名簿には載っているのに、有効な経審結果がないから入札に参加できない。いちばん痛い形で効いてきます。経審は毎年「受ける」ものではなく、毎年「切らさない」ものだと考えてください。

第五章最初に決めておくこと

初めて受けるとき、点数の話に入る前に決めておくことが三つあります。ここが決まっていないと、対策の順番が決まりません。

三つの問い

  • どの発注者を狙うか ── 熊本県か、熊本市か、国か。名簿も等級も別々です
  • どの業種で取りにいくか ── 土木一式か、建築一式か、専門工事か。等級は業種ごとに付きます
  • どの等級を目指すか ── いまの規模で現実的に届くのはどこか

この三つが決まると、「あと何点足りないか」という問いに変わります。そこまで来れば、完成工事高をどの業種に寄せるか、技術者をどう配置するか、どの加点メニューから取るかが、順番に決まっていきます。

第六章つまずきの記録

決算変更届をためていた

最も多いパターンです。許可は取ったが毎年の届出をしていない。経審の相談に来られて、初めて数年分の未提出が分かる。ここを片づけないと先に進めません。

入札の時期に間に合わなかった

入札参加資格の申請には締切があります。そこから逆算すると、経審の申請はさらに前。「入札したい」と思った時点で動き出しても、その年度には間に合わないことがあります。

業種を決めずに受けてしまった

とりあえず全業種で受けた結果、どの業種も点数が薄くなる。完成工事高も技術者も分散するためです。狙う業種を決めて厚くするほうが、等級は上がります。

確認はじめての方のチェックリスト

まず、この六つを確かめてください

  • 建設業許可は取得済みか
  • 決算変更届は、過去分もすべて提出できているか
  • 自社の決算日はいつか。そこから4〜7か月後はいつになるか
  • 狙う発注者は、熊本県か熊本市か、それ以外か
  • どの業種で等級を取りにいくか
  • 次の決算日まで、あと何か月あるか

最後の一つがいちばん大事です。次の決算日までの残り時間が、今年打てる手の範囲を決めます。3か月あれば、加点の準備が間に合うものがあります。1か月なら、来期の設計に切り替えたほうが確実です。

手数料・様式・加点の要件は年度や改正で変わります。実際の申請にあたっては、熊本県「経営事項審査の実施について」および国土交通省の最新の手引きでご確認ください。

執筆体制

行政書士村上事務所熊本市/創業2004年

建設業許可・経営事項審査・入札参加資格を専門に扱っています。お客様の紹介で広がり、取引先は100社を超えました。

顧問技術士・一級建築士

技術と設計の側から、評点の組み立てと施工体制について助言を受けています。

chiou.jp株式会社地央/姉妹サイト

不動産・都市計画・開発許可・農地転用の実務ノートを100本以上載せています。土地から入る案件は、あわせてご覧ください。

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建設業許可の要件を満たせるのか。経営事項審査で狙った評点・等級に届くのか。行政書士村上事務所が御社の状況を伺い、見通しと、足りないものを診断してお伝えします。熊本で創業20年・支援実績100社超。判断の材料をお持ち帰りいただくところまでが無料です。

建設業許可経営事項審査・評点対策入札参加資格 / 096-285-3993(平日9:00〜18:00)|お問い合わせ

経営事項審査 実務講座 第3講 / 全25講 ── 第一部 経審とは何を測る制度か

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