熊本県の入札参加資格と格付 ── 2年に一度の申請で、その後2年が決まる
構成一 2年に一度、2年分が決まる/二 格付される業種と、等級の意味/三 等級は「経審の点」だけでは決まらない/四 経審は、自社で積める唯一の部分/五 いつ動き出すか/六 つまずきの記録/確認のチェックリスト
第一章2年に一度、2年分が決まる
熊本県の工事入札参加者資格は、2年ごとに一斉の受付があります。業界では「表年(おもてどし)」と呼ばれる年です。ここで申請しなかった会社は、次の受付まで県発注工事の入札に入れません。
一度決まった等級は、次の定期申請まで基本的に動きません。つまり、締切直前に出す経審の点数が、そのあと2年間の営業の幅を決めます。「今回は間に合わせで出しておく」が2年効いてしまう、という手続きです。
ここで押さえておきたいのは、等級が2年間動かないという点です。申請の翌年度から2年、その等級で入札します。途中で経審の点が上がっても、原則としてその期の格付は変わりません。だから「今回は間に合わせで」という判断が、2年効いてしまいます。
第二章格付される業種と、等級の意味
すべての業種に等級が付くわけではありません。熊本県で格付の対象となるのは、発注量の多い主要業種です。土木一式工事、建築一式工事、舗装工事、電気工事、管工事──この5業種が中心になります。
等級が付くと、その等級に対応する金額帯の工事が入札の対象になります。上の等級ほど大きな工事に入れる一方、そこに並ぶ相手も変わります。等級は「上げれば得」とは限りません。ひとつ上に行った結果、これまで取れていた規模の指名から外れることもあります。狙う工事の規模と、いまの施工体制の釣り合いを見て決める話です。
第三章等級は「経審の点」だけでは決まらない
格付を決めるのは、経審の点数だけではありません。発注者は経審の結果を客観的な物差しとして使い、そこに自分たちが見たい項目を足して総合点を出します。
左上の経審は、決算の設計と加点メニューで自社から積める部分です。左下は工事を受注して仕上げないと積み上がりません。だから最初に動かすのは上の箱になります。配点や項目は発注者ごとに違い、県と市でも別の制度です。
足される側の項目は、工事成績や地域への貢献など、その発注者の工事を実際に受けて積み上げるものが中心です。ここは時間がかかります。裏を返せば、着実に工事をこなしている会社が正当に評価される仕組みでもあります。いま等級が低くても、受注と成績を積めば確実に近づきます。
評価項目と配点は年度や発注者によって変わります。自社の判断に使うときは、必ず熊本県が公表する最新の資格審査要領でご確認ください。
第四章経審は、自社で積める唯一の部分
二つの要素のうち、自社の計画で動かせるのは経審です。しかも動かし方には順番があります。
- W点(社会性等):建退共、上乗せ労災、退職金制度、防災協定、CCUS、各種認定。制度を整えるだけで点になります。費用も期間も小さい
- Z点(技術力):技術者の資格取得と配置。1〜2年かかりますが、上位等級では点数とは別に「一級技術者が何名以上」という要件そのものになります
- X1(完成工事高)・Y(経営状況):決算の設計で翌期から効きます。狙う業種への振り分けと、2年平均か3年平均かの選択
第五章いつ動き出すか
定期申請の締切から逆算します。申請には経審の結果(または申請済みであることの証明)が要り、経審には決算の確定と決算変更届が要ります。決算日から結果通知まで、通しておおむね4〜7か月。
- 締切の10か月前:決算の設計を税理士と詰める。W点の加点メニューを決算日までに整える
- 締切の6か月前:決算確定、決算変更届の提出
- 締切の4か月前:経営状況分析の申請、続けて経審の申請
- 締切まで:資格申請の書類を揃える(納税証明書には取得期限があります)
この逆算をすると、「自社の締切」は決算期ごとに一社一社違うことが分かります。県の案内に書いてあるのは受付期間だけで、そこから先は自社で引くしかありません。
第六章つまずきの記録
決算変更届をためていた
最も多い形です。許可は取ったが毎年の届出をしていない。経審の相談で初めて数年分の未提出が分かる。全部出すところから始まるので、ここだけで一か月かかることもあります。
表年を知らずに一年を過ごした
2年に一度という周期を把握しておらず、気づいたときには受付が終わっていた。次の機会まで待つことになります。決算月とあわせて、表年の受付時期を手帳に入れておくのが確実です。
業種を絞らずに受けた
とりあえず全業種で経審を受けた結果、どの業種も点数が薄くなる。完成工事高も技術者も分散するためです。狙う業種を決めて厚くするほうが、等級は上がります。
確認チェックリスト
- 建設業許可は有効か。更新の時期は近くないか
- 決算変更届は毎期出しているか。未提出の期はないか
- 直近の経審の審査基準日はいつか。申請の対象期間に入っているか
- 狙う発注者は県か、市か、国か。それぞれ別の申請が要る
- 狙う業種はどれか。完成工事高はそこに寄っているか
- W点の加点メニューで、まだ取っていないものはどれか
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