
令和7年度 熊本市建設工事 入札参加資格の等級格付けについて
熊本市における令和7年度(2025年度)の建設工事入札参加資格の等級格付けに関する情報が公開されました。これは、建設業者の皆様が熊本市が発注する工事等に入札参加する際の重要な基準となります。
まとめ
1. 格付けの目的と基準
この格付けは、建設業者の皆様の施工能力等を客観的かつ公平に評価し、適正な入札参加を促進することを目的としています。
格付けの基準となる総合数値
格付けは、建設業法に基づく客観的数値(経営事項審査の結果など)と、工事成績などに関する主観的数値を合計して算出されます。
2. 令和7年度の主な改正事項等
令和7年度(2025年度)においては、以下の重要な制度改正や運用の変更点がありますので、特にご確認ください。
総合評価方式(簡易型)評価基準の改正
令和7年7月1日以降に公告される案件から、技術者表彰に加え、技術者表彰の実績も加点対象となります。
総合評価方式(簡易型)「担い手育成タイプ」試行対象案件の拡大
令和7年7月1日以降に公告される案件から、施工経験の少ない技術者を配置しやすくするための本タイプの試行対象が拡大されます。
業種 | ランク | 試行対象金額(予定価格) |
土木一式工事 | S | 7,000万円以上7,500万円未満 |
建築一式工事 | A | 8,000万円以上9,000万円未満 |
舗装工事 | A | 2,500万円以上2,700万円未満 |
電子契約の対象案件の拡大
令和7年7月1日以降に公告される一般競争入札案件から、電子契約が導入されます。
建設業法施行令の一部改正に伴う金額要件の見直し
令和7年2月1日から、以下の金額要件が引き上げられます。
特定建設業許可および監理技術者配置の下請代金額の下限
5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上。
主任技術者および監理技術者の専任を要する請負代金額の下限
4,500万円(建築一式工事の場合は9,000万円)以上。
工事請負代金の前払金特例措置の恒久化
平成28年度から時限措置とされていた公共工事の前払金の使途範囲拡大(現場管理費や一般管理費の一部)が、令和7年度以降恒久化されます。
公共工事設計労務単価等の特例措置運用
令和7年3月1日以降に契約締結される建設工事および建設工事に係る業務委託のうち、旧労務費単価で積算されていたものについては、受注者は新労務単価に基づく請負代金額への変更の協議を請求できます。
現場代理人の常駐義務緩和要件の改正
令和7年5月1日から、現場代理人の複数の工事における兼任の要件等が一部改正されます。
3. 格付けの仕組みと等級区分
格付けの仕組み
新規業者の位置づけ
新規に登録する業者は、原則として各業種の最下位ランクに位置づけられます。
ランク上昇の制限
前年より総合数値が急上昇し2ランク以上上がった場合でも、1ランクの上昇に制限されます。
土木一式工事Sランク相当業者の特例
一般建設業許可のSランク相当の業者は、Aランクにとどめられます。
等級区分(令和7年度)
各業種において、総合数値に基づいて以下のランクが設定されます。
業種 | ランク | 総合数値(客観的数値+主観的数値) |
土木一式工事 | S | 981点以上 |
土木一式工事 | A | 779点以上981点未満 |
土木一式工事 | B | 600点以上779点未満 |
土木一式工事 | C | 600点未満 |
建築一式工事 | A | 830点以上 |
建築一式工事 | B | 640点以上830点未満 |
建築一式工事 | C | 640点未満 |
電気工事 | A | 730点以上 |
電気工事 | B | 730点未満 |
管工事 | A | 690点以上 |
管工事 | B | 690点未満 |
舗装工事 | A | 871点以上 |
舗装工事 | B | 680点以上871点未満 |
舗装工事 | C | 680点未満 |
造園工事・造園委託 | A | 720点以上 |
造園工事・造園委託 | B | 720点未満 |
水道施設工事 | A | 690点以上 |
水道施設工事 | B | 690点未満 |
なお、水道施設工事においては、配水管技能者(耐震)の登録に関する特別な要件があります。例えば、必要な配水管技能者(耐震)登録を受けている者が2名に満たないAランク相当の業者はBランクにとどまり、登録者がいない場合は登録の対象となりません。また、完成工事高が4千万円に満たないAランク相当の業者や、自己資本額が1千万円に満たないAランク相当の業者もBランクにとどめられます。
4. 有資格者名簿登録一覧
令和7年度の有資格者名簿登録一覧には、グラウト、杭、とびその他、法面、安全、橋梁などの細業種が含まれており、多くの企業が登録されています。
登録例: 九州セキスイ商事インフラテック株式会社
九州セキスイ商事インフラテック株式会社は、グラウト、杭、とびその他、法面、安全、橋梁の全ての業種で上位に登録されています。
5. 格付け結果の確認方法
令和7年度熊本市工事等競争入札参加資格の認定および格付けの結果は、熊本県電子入札システム内の入札情報公開サービスで検索することができます。
6. 関連情報
詳細な情報や最新の改正事項については、以下の熊本市公式ウェブサイトをご確認ください。
主な関連資料(PDF)
熊本市資格審査の基本的方針及び基準(令和7年度) |
業種・等級ごとの必要数等条件一覧表及び発注標準額一覧表(令和7年度) |
令和7年度(2025年度)の主な改正事項等について |
7. お問い合わせ先
ご不明な点がございましたら、下記までお問い合わせください。
熊本市総務局契約監理部工事契約課 電話番号
096-328-2442
8. その他関連要綱の詳細
入札保証および契約保証について
競争入札に参加する者は、見積金額の100分の5以上の入札保証金またはこれに代わる担保を提供する必要があります。落札者が契約を提出しない場合、入札保証金は市に帰属します。
工事請負契約等における契約の保証は、請負代金額等の10分の1以上の金額を保証する以下のいずれかの方法で行う必要があります。
契約保証金の納付 (現金納付の場合、納入通知書兼領収証の写し) |
契約保証金に代わる担保としての有価証券等(利付国債に限る)の提供 |
銀行、発注者が確実と認める金融機関、または保証事業会社の保証 (保証書) |
公共工事履行保証証券による保証 (証券) |
履行保証保険契約の締結 (証券) |
契約保証については、電子保証も可能です。保証事業会社や損害保険会社が発行する電子証書(XMLやPDFファイル)の提出が認められています。令和7年5月1日以降に公告・指名通知・見積依頼を行う案件から適用されます。
低入札価格調査について
熊本市では、予定価格の制限範囲内で最低価格の入札があった場合、その価格での履行が困難でないかを調査する「低入札価格調査」を実施します。
調査対象工事と提出書類
地方公共団体の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令が適用される調達契約が対象です(総合評価一般競争入札を除く)。調査基準価格を下回る入札があった場合、入札者は以下の書類を開札日の翌日から3日以内(市の休日を除く)に提出する必要があります。
当該価格で入札した理由 (様式第2号) |
工事費内訳書 (全ての項目に数量、単位、単価、金額が記載されたもの) |
工事費内訳書の単価(材料費、機械損料、労務費等)に関する見積書や請求書等の写し |
配置予定技術者の資格確認資料、社会保険加入関係書類、雇用確認資料 |
経費内訳書 (様式第3号) |
対象工事近隣における手持工事の状況 (様式第4号) |
対象工事に関連する手持工事の状況 (様式第5号) |
対象工事箇所と事業所、倉庫等との地理的条件等の関連 (様式第6号) |
手持資材の状況 (様式第7号) |
資材購入先および購入先と入札者との関係 (様式第8号) |
手持機械等の状況 (様式第9号) |
労務者の具体的供給見通しに関する事項 (様式第10号) |
過去に施工した熊本市発注工事の状況 (様式第11号) |
経営内容に関する事項 (様式第12号) |
過去3年間の営業年度終了の財務諸表の写し |
下請発注予定、建設副産物の搬出地その他必要な事項 (様式第13号) |
信用状態に関する事項 (様式第14号) |
調査の結果、落札者としない場合は、その理由が通知されます。
低入札価格調査実施要領は令和7年5月1日に改正されました。
契約書の提出と添付書類
契約締結後、受注者は以下の書類を提出する必要があります。
請負代金内訳書: 健康保険、厚生年金保険、雇用保険に係る法定福利費を明示 |
工事工程表 (任意様式) |
誓約書 |
現場代理人等通知書 |
経歴書 |
資格・雇用を証する書類の写し (健康保険被保険者証の写し等、マスキング必須) |
電子契約の場合、添付書類はPDFに変換し、最大5件までアップロード可能です。
令和5年10月1日以降提出される契約関係書類は、押印を省略できるものが多くあります。
建設リサイクル法対象工事の場合、「建設リサイクル法第13条関係様式(別記様式2)契約書別紙」を契約書に添付し、割印が必要です。
施工体制台帳等について
公共工事については、元請業者が直接請け負った公共工事において下請契約を締結する場合、下請代金の額にかかわらず施工体制台帳の作成等が必要です。
施工体制台帳には、元請負人、下請負人に関する情報、担当工事内容、技術者情報、健康保険等の加入状況などが詳細に記載されます。作業員名簿も同様に詳細な情報(氏名、生年月日、職種、社会保険加入状況、安全衛生教育内容、資格など)を記載し、管理する必要があります。
施工体制台帳の作成範囲は、一次下請だけでなく二次、三次下請を含む全ての建設工事の請負契約における下請負人が記載の対象です。
社会保険等未加入対策
熊本市発注の建設工事では、社会保険等(健康保険、厚生年金保険及び雇用保険)の未加入対策として、社会保険等未加入建設業者との下請契約を禁止しています。特別な事情がある場合のみ、社会保険等未加入建設業者を下請負人とすることが認められることがあります。
建設工事の工期における余裕期間の設定
受注者の円滑な施工体制整備のため、建設資材の調達や労働力確保に要する余裕期間(原則3ヶ月、必要に応じて6ヶ月以内)を設定できる制度があります。余裕期間を設定した工事には、件名に「【余裕工期あり】」と表示されます。余裕期間中は、現場代理人や主任(監理)技術者の配置はできません。
公共工事請負代金債権の譲渡承諾
受注者が下請セーフティネット債務保証事業または地域建設業経営強化融資制度を利用する場合、工事請負代金債権の譲渡について熊本市の承諾を受けることができます。
承諾の対象となる工事には一部例外があります(例: 複数年度にわたる工事の一部、低入札価格調査対象工事、役務的保証が必要な工事など)。債権譲渡を承諾する時期は、工事の出来高が2分の1以上に到達した日以降とされています。
苦情処理手続き
入札や契約に関する措置に不服がある場合、入札参加者は熊本市に対して苦情申立てを行うことができます。
苦情申立ての期間(市の休日を除く)
一般競争入札における競争参加資格がない旨の通知 | 通知日の翌日から5日以内 |
落札者の公表 | 公表日の翌日から5日以内 |
指名業者または随意契約の相手方の公表 | 公表日の翌日から5日以内 |
措置の期間中 | |
措置を受けた日の翌日から2週間以内 |
市長は苦情申立てがあった場合、最終日の翌日から7日以内(市の休日を除く)に書面で回答します。回答書に不服がある場合は、再苦情申立てを行うことができます。
苦情処理結果の概要は速やかに公表されます。