村上事務所

知らないと損!政府の雇用助成金、最近の「意外な変更点」3選

1.0 はじめに:その申請、もっと楽になるかもしれません

中小企業の経営者の皆様、こんにちは。
日々の事業運営に加え、雇用関係助成金の申請手続きに頭を悩ませてはいませんか?
「書類が多くて複雑」「準備に時間がかかりすぎる」──そんな声は、多くの経営者の方に共通する悩みです。

実は近年、政府によるデジタル化・行政手続きの見直しが進んでおり、雇用関係助成金にもいくつかの重要な変更が行われています。
これらの変更を知っておくだけで、申請がスムーズになったり、不要なトラブルを回避できたりする可能性があります。

この記事では、厚生労働省の公式情報をもとに、
申請が「ぐっと楽になる」あるいは「リスクを未然に防げる」3つのポイントを専門家の視点から解説します。
次回の申請にぜひお役立てください。

2.0 ポイント1:手間がかかった「生産性要件」が一部で廃止に

最初の注目ポイントは、かつて多くの助成金で受給額加算の条件とされていた「生産性要件」の取り扱いです。
厚生労働省の公式発表によると、この要件は2023年(令和5年)3月31日をもって原則廃止となりました。

「生産性要件」とは、過去数年間で企業の生産性(=付加価値額)を一定割合以上向上させたことを証明するもの。
決算書等のデータ提出が必要で、多くの企業にとって申請の大きな負担となっていました。

ただし注意すべきは、すべての助成金で一律に廃止されたわけではないという点です。
助成金の種類によっては、廃止後に「賃上げ要件」や「資格手当要件」など、別の評価基準に置き換えられています。
また、令和4年度までの取組については経過措置が適用されるケースもあります。

つまり、今後の申請では「どの助成金が、どの年度分から生産性要件の対象外になったか」を必ず確認しておくことが大切です。
厚生労働省の公式ページで最新情報を確認しておきましょう。

3.0 ポイント2:もう法務局に行かなくていい?「登記事項証明書」の提出が原則不要に

次に、事務負担の軽減に関する変更です。
厚生労働省の告知によれば、2022年(令和4年)8月1日以降、雇用関係助成金の申請時に「登記事項証明書(登記簿謄本)」の提出が原則不要となりました。

これは、政府が進める「登記情報連携システム」により、行政機関がオンラインで法人登記情報を確認できるようになったためです。
これまで法務局で書類を取得していた時間と手数料を削減できる、非常に実務的な改善といえます。

ただし、この変更にも例外があります
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(J HEROなど)が支給事務を担当する助成金については、登記事項証明書の提出が引き続き必要です。
また、登記情報がオンラインで確認できない場合や法人形態によっては、従来通り書類の提出を求められるケースもあります。

「原則不要」ではありますが、「全てのケースで不要」ではないため、申請前に自社の対象助成金がどの運用に該当するかを確認しておくことが重要です。

4.0 ポイント3:これは要注意!厚生労働省をかたる「助成金の勧誘」に警戒を

最後に、最近特に増えている「注意すべき動き」を紹介します。
厚生労働省は、公式サイト上で「助成金に関する勧誘にご注意ください」という警告を掲載しています。

実際、厚労省やその委託先を装い、「助成金の申請を代行します」「無料で受給診断します」といった勧誘が行われている事例が報告されています。
これらは見た目が公的な案内に似ているため、誤って信用してしまうケースもあるようです。

厚労省は公式に、「助成金の申請を電話や訪問で勧誘することはありません」と明言しています。
このような勧誘に応じてしまうと、高額な手数料を請求されたり、虚偽申請を持ちかけられるなどのリスクもあります。

助成金に関する案内を受けた際は、
・相手の会社情報(住所・担当者名)を必ず確認する
・不安な場合は、厚生労働省公式サイトまたは最寄りの労働局・ハローワークに直接問い合わせる
といった慎重な対応を心がけましょう。

5.0 まとめ:最新情報のチェックが成功のカギ

本記事で紹介した「最近の意外な変更点」は以下の3つです。

  1. 生産性要件の廃止(助成金により一部継続・代替要件あり)
  2. 登記事項証明書の提出が原則不要に(ただし例外あり)
  3. 厚生労働省をかたる助成金勧誘への警戒

雇用関係助成金は、企業の雇用維持や職場環境の改善を支援する心強い制度ですが、
内容は頻繁に見直され、年度によって適用条件が変わることも少なくありません。
「以前の情報のまま申請していたら、条件が変わっていた」という事態を防ぐためにも、
常に厚労省の公式ページで最新の要綱・リーフレットを確認する習慣をつけておくことが重要です。

制度を正しく理解し、安全に、そして賢く活用していきましょう。

▶ 厚生労働省「雇用関係助成金」公式ページはこちら

PAGE TOP