【2025年後半】「また値上げか…」で終わらせない。資材高騰時代を生き抜く建設業者のための”契約”という最強の盾
「また資材の値段が上がるのか…」。2025年も後半に差し掛かり、現場のあちこちから、そんなため息が聞こえてきそうです。長期化する円安、高止まりするエネルギー価格。セメントや鉄骨といった基幹資材の価格は、もはや下がる気配を見せません。
この終わりの見えない資材高騰は、もはや避けようのない自然災害のようなものだと諦めてはいませんか?しかし、私はそうは思いません。これは、知識と準備によって乗り越えられる課題です。そして、その鍵を握るのが、私たちが日頃何気なく交わしている「契約」なのです。今日は、赤字工事という最悪の未来を回避し、自社の利益を断固として守り抜くための知恵について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
終わらない価格高騰、その”本当の理由”
- 円安による輸入コストの増加:輸入比率の高い資材は、為替の直撃を受けます。
- エネルギー価格の上昇:製造・輸送の全工程で燃料・電力高が価格に転嫁されます。
- 世界的な需要と地政学リスク:資源争奪や紛争等の外部要因が相場を不安定化。
これらは構造的要因です。「待てば戻る」は通用しない前提に立つべき時期に来ています。
その見積書、数ヶ月後に”赤字の約束手形”になっていませんか?
建設は見積提出から竣工まで時間差が大きい産業。提出時は適正利益でも、着工時には資材が高騰し、実行予算が崩壊――完了時に利益が消える、あるいは赤字化する。
いま求められるのは、精緻な積算に加え、将来の価格変動という「見えないリスク」をどうコントロールするかです。
あなたの会社を守る最後の砦、「リスク分担」という交渉術
最大の防衛策は、契約前交渉で「価格変動リスクの分担」を明確化すること。
公共工事で浸透している単品スライド条項は、想定外の急騰時に請負金額を見直す仕組みです。民間でも、合意があれば導入可能です。
例)「万が一、◯◯(資材名)の指標価格が基準日比△%以上変動した場合は、請負金額について別途協議のうえ調整する」
「上がっても約束額で」の一方的要請を漫然と受け入れる必要はありません。契約はどちらかが得をする道具ではなく、不測の事態でも双方が過度に傷つかないよう未来を約束する『盾』です。
まとめ・提言:変化の波を乗りこなし、未来の信頼を勝ち取る
- 情報武装で交渉の主導権を:価格指標(建設物価等)を定点観測し、感覚ではなく事実で対話。
- 契約書を「お守り」から「武器」へ:価格調整条項・工期調整条項・協議条項の有無と文言を点検。
- VE提案で価値を創造:仕様最適化や代替材提案でコスト増を相殺し、顧客価値を高める。
資材高は逆風ですが、契約と提案力を磨けば、経営体質は強くなります。波に流されるのではなく、波を乗りこなす――その姿勢こそが、これからの時代を生き抜く鍵です。