
国土交通省発表:建設業許可業者数、2年連続で増加!
国土交通省発表 建設業許可業者数 2年連続増加から読み解く業界の今
建設業界にとって非常に注目すべき、国土交通省からの最新の発表についてお伝えいたします。
令和7年5月16日に、国土交通省より「令和6年度末の全国の建設業許可業者数調査の結果」が発表されました。この発表は、日本の建設業界の現状や今後の動向を知る上で、非常に重要な指標となります。私たち行政書士も、このデータを注意深く見て、業界の皆様にどのようなサポートができるかを日々考えております。
発表された最新データとその意味
今回の調査で明らかになった、令和6年度末時点での建設業許可業者数は、483,700業者となりました。これは、前年度と比較して4,317業者の増加であり、増加率は0.9%です。この数値が、ただの数字の羅列ではなく、日本の建設業界の「今」を映し出す鏡であると、私たちは考えています。
少し過去のデータも振り返ってみましょう。実は、平成30年度末以降、建設業許可業者数は増加傾向が続いていました。ところが、令和4年度末に一度だけ減少に転じました。しかし、続く令和5年度末に再び増加に変わり、そして今回の令和6年度末の調査でも、2年連続の増加となったのです。
調査時点 | 建設業許可業者数 | 前年度比 |
令和4年度末 | 減少 | |
令和5年度末 | 増加 | |
令和6年度末 | 483,700業者 | 4,317業者増加 (0.9%) |
国土交通省では、昭和47年度に建設業に許可制度が採用されて以来、毎年3月末時点での許可業者数を調査し、その動向を把握しているとのことです。こうした長年にわたる継続的な調査があるからこそ、私たちは業界の構造的な変化やトレンドを正確に読み取ることができるのです。
この増加傾向から見える日本の建設業界
建設業許可業者数が2年連続で増加したこと、そして平成30年度以降は(一時的な減少を除き)増加傾向にあることは、日本の建設業界全体にとってポジティブなサインと捉えることができます。
景気のバロメーターとしての許可業者数
私たちは、この建設業許可業者数の増減を、一種の「景気のバロメーター」として見ています。かつて、工場の稼働率やビールの消費量が景気を測る目安と言われた時代がありましたが、建設業許可業者数の動向もまた、日本の『ものづくり』やインフラ投資といった経済活動の活発さを示す大切な指標の一つだと考えられます。許可業者が増えるということは、それだけ建設工事への需要が高まっている、あるいは将来的な需要を見越して新たに参入する事業者や、これまで許可が不要な小規模工事を中心に手がけていた事業者がステップアップを目指している、といった状況が考えられるからです。
増加に至る思考プロセス(行政書士の視点)
では、具体的にどのような要因がこの増加につながっているのでしょうか。行政書士として様々な建設業者様と日々接している中で、いくつかの可能性を考えてみました。
社会的な要因
まず考えられるのは、社会全体の動きです。例えば、
インフラの老朽化対策や防災・減災工事の増加
都市部の再開発や大規模プロジェクトの進行
デジタル化や脱炭素化に対応するための設備投資(工場や倉庫の建設・改修など)
といった要因により、建設需要が高まっている可能性があります。需要が増えれば、それに伴い事業を拡大したり、新規に参入したりする動きが出てきます。
法律や制度の要因
建設業を取り巻く法律や制度の変更も影響しているかもしれません。例えば、
建設業法の改正により、下請業者や一人親方にも適正な取引が求められるようになり、許可を持つことの重要性が再認識されている
特定の規模以上の工事には建設業許可が必須であるというルールの遵守が徹底されている
といったことが、許可取得を促進している可能性が考えられます。
事業者の意識の変化
建設業者様ご自身の意識の変化も大きいでしょう。
許可を持つことで、公共工事やより大きな民間工事を受注できるようになりたい
元請業者からの信頼を得て、安定した取引関係を築きたい
企業としての信頼性や社会的な信用を高めたい
後継者に事業をスムーズに引き継ぐために、経営基盤を強化したい(事業承継)
といった前向きな理由から、許可取得を目指す事業者が増えているのではないでしょうか。これは、単に法律で決められているから仕方なく取るのではなく、事業を成長させるための戦略として許可を捉える事業者様が増えている、ということだと感じています。
もちろん、これらの要因が複合的に影響し合っていると考えられます。令和4年度に一時的に減少したのは、その前の特需(震災復興や東京オリンピック関連など)が一服した影響や、コロナ禍による経済活動の停滞などが考えられますが、そこから再び増加に転じたということは、建設業界が新たな需要や経営環境の変化に適応しようとしている、その活力が現れていると言えるのではないでしょうか。
建設業許可がもたらす価値とは
改めて、建設業許可を持つことの意義について考えてみましょう。許可は、単に法律で定められた手続きをクリアするだけではありません。それは、事業者様にとって様々な「価値」をもたらすものです。
信頼という「お墨付き」
建設業許可を持っているということは、例えるなら、初めて訪れるレストランで、厨房に『プロの調理師免許』が掲げられているのを見るようなものです。お客様はそれを見るだけで、『ここで提供される料理は、一定の基準を満たしたプロが作っているんだな』と安心できます。建設業許可も同じで、発注者様にとっては、この業者は法律に基づいた手続きを経て、技術や経営の面で一定の要件を満たしている、信頼できるプロ集団なのだという『お墨付き』になるのです。特に、公共工事や大手民間工事においては、この信頼性は非常に重要視されます。
事業を次のステージへ導く「特別な通行手形」
建設業法では、一定の金額以上の工事(建築一式工事で1,500万円以上、それ以外の工事で500万円以上)を請け負うには、建設業許可が必要と定められています。許可を持つということは、これらの大規模な工事を請け負うための資格を得ることであり、まさに事業を次のステージへと導く『特別な通行手形』を手に入れることと言えます。これにより、これまで受注できなかった規模の工事にも挑戦できるようになり、事業拡大の大きなチャンスが生まれます。
コンプライアンスの徹底
許可を取得・維持するためには、法律で定められた様々な要件(経営業務の管理責任者、専任技術者、財産的基礎など)を満たす必要があります。このプロセスを通じて、事業者様は自社の経営体制や技術力を客観的に見つめ直し、法律を遵守した事業運営を心がけるようになります。これは、社会的な信用を高めるだけでなく、経営基盤を強化する上でも非常に重要です。
行政書士ができること
こうした建設業許可の重要性が高まる中、私たち行政書士は、建設業者様にとって最も身近なパートナーでありたいと考えています。
私たちは、建設業許可の新規申請はもちろん、許可の更新、業種追加、各種変更届、決算変更届など、許可に関するあらゆる手続きのサポートを行っています。法律の知識はもちろん、書類作成の専門知識、行政との調整ノウハウを活かして、事業者様の負担を減らし、スムーズな手続きをサポートいたします。
また、許可を取得・維持するための要件を満たしているかどうかの事前のご相談や、取得後のコンプライアンスに関するご相談にも応じております。建設業許可は取得して終わりではなく、適切に維持管理していくことが重要です。私たちは、許可業者として継続的に事業を発展させていくための伴走者として、事業者様を全力で応援いたします。
まとめ
今回の国土交通省の発表による建設業許可業者数の2年連続増加は、日本の建設業界に再び活気が戻りつつあること、そして多くの事業者が将来を見据えて事業基盤の強化や拡大を目指していることの表れだと考えられます。
建設業許可は、事業者様の信頼性を高め、より大きな仕事への道を拓くための重要なステップです。もし、建設業許可の取得をご検討されている方、許可に関する手続きでお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談ください。私たち行政書士が、事業者様の発展を法的な側面からしっかりとサポートさせていただきます。
今後も、建設業界の動向や許可に関する最新情報をお伝えしてまいりますので、引き続き当サイトをご覧いただければ幸いです。