
解体工事業は登録が必要?熊本県での事業開始に必要な手続きとは
熊本県 解体工事業の登録について
概要
熊本県内で解体工事業を営むためには、原則として熊本県知事の登録が必要です。
その手続き、要件、および留意事項について説明していきたいと思います。
特に、登録が必要なケースと不要なケース、技術管理者の要件、および登録後の変更・廃業に関する手続きを明記していきます。
主なテーマと重要事項
解体工事業の定義と登録の必要性
「解体工事業」とは、「建築物その他の工作物を除却するため倒壊、切断、加工、取り外し等の行為により、その全部または一部を解体する工事を請け負う営業(その請け負った解体工事を他の者に請け負わせる場合も含む)」と定義されています。
この解体工事業を営もうとする者は、元請・下請の別にかかわらず、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければなりません。
重要な点:他の都道府県で既に登録を受けている場合でも、新たに熊本県内で解体工事業を営む場合は、熊本県での手続きが必要です。
登録が不要なケース
以下のいずれかの建設業法の許可を受けている場合は、解体工事業の登録は不要です。
「土木工事業」 |
「建築工事業」 |
「解体工事業」 |
なお、平成28年6月1日時点で現に「とび・土工工事業」の許可を受けて解体工事を営んでいる建設業者については、平成31年5月31日までの3年間は、解体工事業の許可を受けず引き続き解体工事業を営むことができるとされていますので、この経過措置が適用となる建設業者については、解体工事業の登録は不要です(※この経過措置期間は既に終了しています)。
建設業許可が必要なケース(登録との関係)
重要な点: 解体工事または解体工事を含む建設工事で、請負金額が500万円以上(建築一式工事に含まれる工事にあっては請負金額が1,500万円以上)の工事を行う場合は、建設業法に基づく建設業許可が必要となります。
これは、解体工事業の登録とは別の許可であり、請負金額によって必要な手続きが異なります。
登録の有効期間と更新
登録の有効期間は5年間です。
引き続き解体工事業を営む場合は、有効期間満了日の30日前までに更新の登録申請を行う必要があります。
この手続きを怠ると、期間満了とともに登録の効力を失い、営業できなくなります。
登録を受けるための要件
以下の2つの要件を満たす必要があります。
登録拒否事由に該当しないこと
建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律第24条第1項に規定する登録拒否事由に該当していないこと。
技術管理者を選任していること
解体工事現場における施工の技術上の管理をつかさどる「技術管理者」を選任していること。
解体工事業者は解体工事を施工するときは、技術管理者に解体工事の施工に従事する他の者の監督をさせなければなりません。
技術管理者の要件
技術管理者になるためには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります(学歴と実務経験、または特定の資格)。
学歴+実務経験
大学・高専で指定学科卒業後 | 2年以上 | 解体工事に関する実務経験 |
高校・中等教育学校で指定学科卒業後 | 4年以上 | 解体工事に関する実務経験 |
指定学科を卒業していない場合 | 8年以上 | 解体工事に関する実務経験 |
※指定学科とは、土木工学、建築学、都市工学、衛生工学、交通工学に関する学科などを指します。
特定の資格
1級/2級建設機械施工技士(2級は種別「第1種」又は「第2種」に限る) |
1級/2級土木施工管理技士(2級は種別「土木」に限る) |
1級/2級建築施工管理技士(2級は種別「建築」又は「躯体」に限る) |
1級/2級建築士 |
1級のとび・とび工の技能検定合格者 |
2級のとび又はとび工の技能検定に合格した後、解体工事に関し1年以上の実務経験を有する者 |
技術士(2次試験のうち建設部門に合格した者) |
講習受講+実務経験
国土交通大臣が実施する講習又は登録した講習を受講した者で、以下のいずれかに該当する者。
指定学科卒業後 | 大学・高専 1年以上 / 高校・中等教育学校 3年以上 | 実務経験 |
指定学科卒業者以外 | 7年以上 | 実務経験 |
その他の要件
国土交通大臣の登録を受けた試験合格者 |
国土交通大臣が上記と同等以上の知識・技能を有すると認定した者 |
重要な点: 技術管理者は常勤であることが必要であり、その常勤性を証明する書類(社会保険証の写し、賃金台帳、出勤簿、源泉徴収簿など)の提示が必要です(個人の場合で、事業主が技術管理者である場合は、不要)。
申請書類と提出先
新規登録、更新、変更届、廃業等届の受付窓口は、熊本県庁土木部監理課建設業班です。
所在地は熊本県熊本市中央区水前寺6丁目18番1号(行政棟 本館11階)です。
電話番号は096-333-2485、Fax番号は096-381-5404です。
新規・更新申請時には、解体工事業登録申請書、誓約書、登録申請者の調書、選任した技術管理者が要件を満たしていることを証する書面、選任した技術管理者の常勤性が確認できる書類などが必要です。
法人の場合は商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書、発行後3ヶ月以内のもの)も必要です。
資格の場合は合格証や資格証等の写し、実務経験の場合は実務経験証明書が必要です。
提出部数は正本・副本の2部となります。
変更届出、廃業等届出についても、それぞれ所定の様式と添付書類(変更事項による)が必要です。
手数料
新規登録: | 33,000円 |
更新登録: | 26,000円 |
いずれの場合も熊本県収入証紙により納入してください。
変更や廃業等の届出については、手数料は必要ありません。
変更届出の必要性
登録を受けた後、登録内容に変更が生じた場合には、変更のあった日から30日以内に変更届出書(様式第6号)を提出する必要があります。
変更事項には、商号、名称、氏名、住所、営業所の名称、所在地、役員(法人の場合)、技術管理者などがあります。
変更事項に応じて必要な書類を添付してください。
廃業等届出の必要性
解体工事業者が以下の事項に該当することとなった場合は、その事実が発生した日から30日以内に廃業等届出書を提出する必要があります。
届出事項 | 届出義務者 |
死亡した場合 | 相続人 |
法人が合併により消滅した場合 | 代表する役員であった者 |
法人が破産手続開始の決定により解散した場合 | 破産管財人 |
法人が合併又は破産手続開始の決定以外の事由により解散した場合 | 清算人 |
解体工事業を廃止した場合 | 解体工事業者であった個人又は解体工事業者であった法人を代表する役員 |
廃業等届出書に添付書類は不要です。
解体工事業者一覧
熊本県ホームページで公開されている一覧表は、「解体工事業登録をしている業者」のみが掲載されています。
建設業許可(土木、建築、解体)を有する業者は掲載していませんので、ご注意ください。
この一覧表はあくまで参考資料ですので、登録があることの証明にはなりません。
また、一覧表に掲載されている場合でも、登録の廃業や取消、抹消がされている場合があり、最新の情報でない場合があるため注意が必要です。
留意事項
各種申請・届出には定められた様式があり、添付書類も異なります。記載例などを確認し、不備がないように提出する必要があります。
実務経験証明や技術管理者の要件証明については、厳格な確認が行われます。
登録の有効期間管理は事業者の責任であり、更新手続きを忘れないように注意が必要です。
詳細な手続きや必要書類については、必ず熊本県ホームページの原文を参照するか、熊本県庁土木部監理課建設業班に直接お問い合わせください。
まとめ
熊本県内で解体工事業を営むには、原則として県知事の登録が必要です。
ただし、特定の建設業許可(土木工事業、建築工事業、解体工事業)があれば登録は不要です。
請負金額が500万円以上(建築一式工事に含まれる場合は1,500万円以上)の工事には、別途建設業法に基づく建設業許可が必要となります。
登録の有効期間は5年間で、引き続き営む場合は満了日の30日前までに更新申請が必要です。
登録を受けるためには、登録拒否事由に該当しないこと、および技術管理者を選任していることが要件となります。
技術管理者は常勤である必要があり、学歴・実務経験、特定の資格、または講習受講等によって要件が定められています。
申請書類の提出先は熊本県庁土木部監理課建設業班で、手数料は新規登録33,000円、更新登録26,000円です。
登録内容に変更があった場合や廃業した場合は、30日以内に届出が必要です。
熊本県ホームページの解体工事業者一覧は登録業者のみ掲載されており、建設業許可を有する業者は含まれないため注意が必要です。