太陽光パネルの廃棄 ── 令和8年の新法と、撤去工事に挟まる30日
令和8年5月29日に成立し、6月5日に公布された「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」(令和8年法律第33号)。施行は、一部を除き公布の日から1年6か月を超えない範囲で政令が定める日とされています。対象は事業用の太陽電池です。撤去や解体を請け負う側にとって効いてくるのは、リサイクルそのものより、工事の発注の前に置かれた届出と30日の待機のほうです。
01何が決まったのか
この法律は、義務を負う者を分けて書いています。パネルを捨てる側、処理する側、作って売る側、それぞれに別の義務が置かれました。
出典:環境省・経済産業省「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案」関係資料および環境省の公表情報。
中でも実務に直接効くのが、多量事業用太陽電池廃棄者の届出です。「多量事業用太陽電池廃棄実施計画」を主務大臣に届け出ることが義務づけられ、届出が受理されてから原則30日を経過した後でなければ、廃棄物の排出も、工事の発注もできないとされています。
02撤去工事の段取りが変わる
30日は受理からの日数です。書類の作成期間はこれに含まれません。工期の逆算は、実質もっと手前から始まります。
これまでは、事業者が撤去を決めたらそのまま業者に声がかかりました。新法のもとで多量廃棄者に当たる発注者の場合、実施計画を作り、届け出て、受理から30日待って、それから発注ということになります。
受注する側から見ると、二つの変化があります。ひとつは、話が来てから着工までの時間が伸びること。もうひとつは、発注者が計画を作る段階で、撤去の方法と処分先の見込みを求められるため、見積や工程の提示を求められる時期が前倒しになることです。正式な発注の前に相談が来る、という形が増えます。
03いまのうちに整理しておくこと
- 施行日は政令待ちです。公布の日から1年6か月を超えない範囲とされているので、令和9年12月までのどこかになります。政令の公布を確認してください。
- 対象は事業用の太陽電池です。住宅用の扱いや、多量廃棄者の線引きは、政令・省令の内容を見ないと確定しません。
- パネルの取り外しには、石綿とは別の固有のリスクがあります。日射があるかぎり発電しているため感電のおそれがあり、重量物であり、破損すると内部の物質が飛散します。作業手順書は先に作っておくべきです。
- 排出事業者責任の考え方は建設廃棄物と同じです。誰が元請かを契約書で確定させておくところは変わりません。建設廃棄物 実務ノートを参照してください。
- 再資源化等事業者の認定を受ける処理業者が今後増える見込みです。搬入先の選択肢を、いまのうちに把握しておくと見積が組みやすくなります。
- 建築物の解体を伴う場合は、解体工事業の登録や建設業許可の区分も確認が要ります。解体工事業登録 実務ノート(熊本県)にまとめています。
04まとめ
2030年代の後半には、初期に設置されたパネルが一斉に寿命を迎えます。この法律は、そのときに処理が追いつかなくなる事態を先回りして避けるためのものです。撤去を請け負う側にとっては、リサイクルの技術より、発注までの時間割が変わることのほうが先に来ます。30日という数字を、工程表の側で覚えておいてください。
出典:環境省「太陽光パネルリサイクル関連」、環境省報道発表「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案の閣議決定について」(令和8年4月3日)、経済産業省の関連公表資料。施行期日その他の細目は今後の政令・省令によります。
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