建退共の動向|行政書士村上事務所

建退共 ── 令和8年10月から予定運用利回りが1.5%へ、経審では15点

建設業退職金共済(建退共)に、令和8年8月7日付で改正が公表されました。予定運用利回りが1.3%から1.5%に引き上げられ、令和8年10月1日から施行されます。掛金日額は320円のまま据置きなので、同じ納付月数でも受け取る退職金は増える方向です。経審のW点でも15点が付く制度で、公共工事では掛金相当額が現場管理費に積算されています。

構成:一 令和8年10月の改正/二 掛金と納付の方法/三 公共工事での扱い/四 経審での評価/五 つまずきの記録

第一章令和8年10月の改正

項目 内容
改正の内容 予定運用利回り 1.3% → 1.5%
施行 令和8年10月1日
公表 令和8年8月7日(共済契約者には令和8年7月付で案内を送付済み)
掛金日額 320円のまま(令和3年10月1日から改定なし)

掛金が上がるのではなく、運用の利回りが上がる改正です。事業主の負担は変わらないまま、技能者が受け取る額のほうが増えます。採用と定着を説明する材料が一つ増えたと捉えるのが実際的です。

第二章掛金と納付の方法

掛金は1日あたり320円。月に21日就労した場合で6,720円です。納付の方法は二つあります。

電子ポイント方式 証紙貼付方式
やり方 ポイントを購入し、就労実績に応じて充当 証紙を購入し、手帳に貼付
掛金収納書の提出期限 契約締結後40日以内 契約締結後1か月以内
状況 普及が進められている 併存中。廃止時期は公表されていない

電子ポイント方式は義務ではありません。証紙方式も現在まで併存しており、証紙の交換手続きも続いています。ただし電子申請の専用サイトは令和7年9月にリニューアルされ、運用中の工事についても就労ツール方式からWeb方式への切替えが案内されています。方向としては電子です。

第三章公共工事での扱い

掛金相当額は、現場管理費に入っている

公共工事では、建退共の掛金相当額は現場管理費の一部として積算されています。つまり、発注者はその分を工事費に見込んでいます。

受注者は工事の完成時に、建設業退職金共済制度掛金充当実績総括表を発注者に提示します。加入していない、あるいは充当していない場合、ここで説明が必要になります。

下請の技能者の分も、元請がまとめて手当てする建てつけです。掛金が現場管理費に入っている以上、これを下請代金から差し引くような扱いは筋が通りません。

第四章経審での評価

図 W1で何点が付くかW点で15点が付く三つは、まとめて設計できるW1-①建設業退職金共済への加入15点W1-②退職一時金・企業年金の導入15点W1-③法定外労災制度への加入15点W1-⑦就業履歴蓄積措置(CCUS)10点W1-⑧自主宣言(令和8年7月 新設)5点①②③を揃えるだけで45点W点の素点1点は、P点の約1.3点にあたる令和8年7月の改正で、社会保険の未加入減点(各▲40点)は削除された加入は審査基準日(決算日)の時点で判定される

令和8年7月1日以降を審査基準日とする申請から適用される配点です。P点への寄与は告示の算式からの概算です。

建退共への加入は、経営事項審査のW点で評価されます。令和8年7月1日施行の改正後も、点数は変わっていません。

W1の項目 内容 素点
W1-① 建設業退職金共済制度への加入 15点
W1-② 退職一時金または企業年金制度の導入 15点
W1-③ 法定外労災制度への加入 15点
W1-⑦ 就業履歴蓄積措置(CCUS) 10点(改正前15点)
W1-⑧ 建設技能者を大切にする企業の自主宣言(新設) 5点

令和8年7月の改正では、あわせて雇用保険・健康保険・厚生年金の未加入による減点(各▲40点)が削除されました。許可の要件と重複するためです。CCUSの配点が下がり、自主宣言が新設された分の動きについては別稿で整理しています。

15点は、W点の中では大きいほうです

W1-①②③はいずれも15点で、この三つを揃えるだけで45点になります。W点の素点1点はP点の約1.3点にあたるので、無視できない差です。

建退共は掛金が現場管理費で手当てされる制度でもあるため、加入していない理由のほうが説明しにくい項目です。

第五章つまずきの記録

つまずき 防ぎ方
加入はしているが、充当していない 就労実績に応じた充当まで行う。総括表で問われます
掛金収納書の提出期限を過ぎた 電子ポイント方式は契約締結後40日以内、証紙は1か月以内
下請の技能者分を手当てしていない 元請がまとめて手当てする建てつけ。現場管理費に入っています
経審の直前に加入した 審査基準日(決算日)の時点で加入している必要があります

※掛金額・手続・期限は建設業退職金共済事業本部および国土交通省の公表内容が優先します。

建退共・法定外労災・退職金制度は、W点でまとめて設計できる項目です。決算日から逆算した順番の整理からご相談いただけます。

執筆体制

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